2025年の中国自動車市場は、世界最大の規模を誇り、電動化やスマート化、グローバル競争の激化の中で大きな変革を迎えている。NEV(新エネルギー自動車)の急成長と輸出拡大を背景に、引き続きグローバル市場を牽引する。しかし、過剰生産、競争激化、消費者ニーズの変化への対応が、企業の存続を左右する。「内巻」(ネイジュエン)という言葉は、「内向きな過当競争で消耗戦を強いられ、全員が疲弊する」という意味で使われ、特に自動車業界での過当競争に使われるようになった。
中国自動車市場は、2025年初頭から堅調なスタートを切った。中国汽車工業協会によると、NEVは急成長を続け、2月は生産が91・5%増の88・8万台、販売が87・1%増の89・2万台と、市場シェア拡大が顕著だ。2025年のNEV販売は1600万台に達し、市場全体の50%以上を占めると予測される。輸出も好調で、2025年通年の輸出は620万台と見込まれる。
しかし、中国自動車市場は、NEVの普及と技術革新で世界をリードする一方、複数の課題に直面している。まず、過剰生産と在庫問題が深刻化。
広汽集団(広州汽車)は、2025年5月の販売台数が前年比24・8%減の11万7698台と大幅に下落した。1~5月の累計販売台数も60万5225台で、前年比13・48減。特にNEVの販売が28・49%減と大きく落ち込んだことは、NEV需要が急拡大する市場環境とのギャップを露呈する。
この背景には、消費者ニーズの変化と競争の激化がある。消費者はブランド力より製品力やコストパフォーマンスを重視し、従来の合弁ブランドや旧来のモデルに頼る企業は苦戦を強いられている。広汽の事例は、市場全体の縮小傾向を象徴する。