2025年、中国の無人物流車(自動配送車)市場が急成長を遂げている。価格の大幅下落、資本の流入、政策支援などが相まって、物流業界では“無人配送時代”の到来が現実味を帯びてきた。
低速自動運転分野における最も実用化に近いアプリケーションとして、無人物流車は大きな注目を集めている。低速自動運転産業連盟の李進科事務局長は「多様化が進む産業エコシステムの中で、技術協調と商業化が加速している。各企業は、特定の配送シーンへの対応が鍵になる」と指摘する。
2025年に入り、各メーカーは競争的に価格を引き下げている。
5月には、九識智能が新型Eシリーズ「E6」を発表。最大積載量500kg、価格は19,800元(約41.6万円)という衝撃的な水準で市場に登場し、大きな話題を呼んだ。

新石器無人車も続き、積載量1000kg、容積6㎥、航続距離200kmの「X」モデルを「頭金888元(約1.9万円)から」とするプロモーションを展開。
さらに6月18日には、アリババ傘下の菜鳥が新型「GT-Lite」を発表。定価は21,800元(約45.8万円)だが、期間限定価格として16,800元(約35.3万円)で予約販売を開始した。
これらの「白菜価格(超格安)」の無人物流車の登場は、市場に低速自動運転時代の本格的な到来を印象づけた。
新戦略低速自動運転産業研究所のデータによると、2024年の中国国内における低速無人車の市場規模は123億元(約2,583億円)で、前年比45%の成長。販売台数は約3.3万台(前年比34%増)に達した。
2025年には、販売台数が4.7万台、売上規模が185億元(約3,885億円)に達する見込み。2030年には、販売台数9.5万台、市場規模410億元(約8,610億円)を突破するとの予測も出ている。
北京、深圳などでは、菜鳥、美団、京東(JD.com)、極兎など大手物流企業が、九識智能や新石器などの無人車メーカーと協業し、物流ルートの拡張とシーン開拓を加速させている。
特に深圳市では、無人配送車の運行が約300台に達し、2025年末までに1000台を超える見込み。市政府は300km超の専用道路を開放しており、「開放時間」「走行速度」「サイズ・台数」など6つの軸で企業の導入要望に対応する体制を整えている。
菜鳥の関係者は「2025年以降、全国の主要地域で無人配送車を活用する拠点が拡大しており、単一の物流拠点で30台以上の車両を導入するケースも増えている」と述べた。
菜鳥のCTOで無人車事業の責任者である李強氏は「技術進化と政策支援が揃い、3~5年以内に宅配業界だけで20万台以上の無人物流車が配備される可能性が高い」と語った。
(中国経済新聞)