中国の玩具メーカー・ポップマートは、このほど発売したLABUBUの3.0シリーズが全世界で大人気だ。多くの国や地域で店に買い物客の行列ができており、アメリカのロサンゼルスではLABUBUの購入に詰め掛けた客が「先頭も末尾も見えない」列を作り、イギリスのロンドンではオックスフォードストリートの店で曲がり角づたいに人が並んでいるという。さらにアメリカのAPP STOREランキングで、ポップマートのAPPが初めてトップに躍り出た。
香港出身でポップマートの専属アーティストである龍家昇氏が北欧の森の精霊をイメージして創作したTHE MONSTERSシリーズのIP「LABUBU」は、THE MONSTERSの世界的な人気上昇を受けてファンをがっちりと獲得し、去年の関連グッズ売上高は実に前年比726.6%という伸びだった。いずれも単価99元というLABUBUの「前方高能」シリーズはオンラインで発売直後から奪い合いとなり、中古品販売サイトでは新品で最高10万元という値が付いた。ただこれはPR目的の見せかけ値段か、無在庫販売である可能性もある。それでも中古品の価格はほとんどが元値を上回り、およそ30%増しになっている。

ポップマートは2024年の売上高が前年比106.9%増の130.4億元で、このうち香港・マカオ・台湾を含めた海外分は375.2%増の50.7億元で全体の4割近くを占めるなど、好調そのものである。今年第1四半期は海外事業の収益が前年の475%-480%増しであり、地域別ではアメリカ州が895%-900%、ヨーロッパが600%-605%、アジア太平洋地域が345%-350%の増加であった。こうした結果を受け、今年3月の決算発表後の業績会議では工場の買収や海外の生産ライン拡大といった案も打ち出された。
ポップマートの最高執行責任者(COO)である司徳氏は、「今のところ工場買収の予定はない。理論的に必要ないからであり、やはり工場の管理のさらなる整備をしたい。今は主力工場の99%以上がわれわれの商品であって、生産計画を一段と整えられるが、われわれはアートが専門なので工場管理が苦手だ。今は商品の10%前後をベトナムで生産しているが、この割合をもっと上げたい。もちろんベトナムだけでなく、他の東南アジアも視野に入れており、海外での生産割合を徐々に増やしていく」と述べた。ポップマートは好調な業績に支得られて株価も上昇しており、今年2月の時点と比べて2倍増である。ビジネス評論家の張書楽氏は本紙(第一財経)に対し、「中国のアートトイは今、新規なものからトレンド品に変わっており、これはアメリカでの人気沸騰に始まったものだ」と述べた。ポップマートのIP運営は今、品種・チャネル・マーケット・トレンドの4分野で刷新している。国外市場の拡大は文化の海外展開を通じたもので、欧米、日韓の二次元文化とは違ったトレンドを形成し、海外で人気を拡大している一方、業績も一段と伸ばしている。張氏は、「ブラインドボックスも他の二次元グッズもそれ自体の価値は薄く、主にIPによって価値を高め、これに希少性が加わって一段と箔がついているに過ぎない」と言う。ブラインドボックスも今は「コレクション」とはならず、二次元愛好者が気持ち的に楽しむような存在になっている。またポップマート自身、IPについてキャラクター付けが弱く、ラインナップも不十分で、利益につながる場が少ないなど、改善の余地を抱えている。
(中国経済新聞)