広東省、技術系ベンチャー区の「四頭の虎」がGDP 39兆円突破 各地域の特徴は?

2025/03/22 18:41

南方日報によると、広東省は現在、深センのロボット、広州の自動運転、仏山の産業用ロボット、東莞の新素材、珠海の海洋機器類やドローンを代表とした新興産業クラスターが形成されつつある。このうち関係各社が多数立地している深セン市南山区、広州市黄埔区、仏山市順徳区、東莞市松山湖は、ベンチャー系「広東四頭の虎」(Guangdong Four Tigers)と呼ばれている。

これら4地域は2024年末時点でGDPの総額が1.9兆元(39兆円)を超え、ハイテク企業数が1.3万社、上場会社が500社近くに達している。

広東省の統計局によると、同省は去年、一段とイノベーション力が高まり、R&D費用は約5100億元(約10兆5012億円)、研究開発費の負荷割合は3.6%前後となる見込みで、イノベーション力は8年連続で国内地域別トップ、ハイテク企業数は7.7万社を数えている。

「四頭の虎」のうち、深セン市南山区は2024年のGDPが9500.97億元(約19兆5612億円)で、12年連続で省内地域別トップとなり、このうち研究開発費の割合が7.66%であった。上場会社数は2024年12月の時点で216社で、立地密度の割合が地域別で中国トップであり、テンセント、ファーウェイ、DJI、邁瑞(マインドレイ)といった海外でも名の知れた業界大手が存在する。

南山区は現在、ロボットやAI、ドローンなどの新興産業が成長している。このうち20年以上前から始まり低空経済の重要な担い手であるドローン産業は、このところ道通智能(Autel Robotics)やDJIなどリーダー企業が集結し、低空経済全体で500社以上が存在し生産額は550億元(約1兆1325億円)以上、研究開発から製造、運営、サービスまでの一貫したドローン産業チェーンが出来上がっている。

また南山区は、ロボット産業について上場14社を含む主要企業が200社以上立地している。業界内一貫体制も整っており、雲鯨智能(Narwal Robotics)、越疆科技(DOBOT)、普渡科技(Pudu Robotics)、優必選(UBTECH)など大手のほか、固高科技(Googoltech)、潜行創新(Chasing)、奥比中光(Orbbec)など「隠れたチャンピオン」も存在している。

普渡科技ロボット

東莞市の松山湖は、2024年にGDPが1000億元(約2兆590億円)を超えて「大台突破」を果たした。去年のR&D経費は121億元(約2491億円)で、負荷割合は中国平均の5倍、省平均の3.8倍となっている。

松山湖は、ファーウェイを軸とした1000億元(約2兆590億円)級のインテリジェントモバイルデバイス産業群が形成され、次世代情報技術、インテリジェント機器の製造、バイオメディカル、ハイテク医療機器、新エネルギー、新素材などの新興産業が着実に成長している。またAIや低空経済など次世代型産業も広まっている。この1年は新たな産業化や新たな質の生産力向上に力を入れ、ファーウェイデバイス、生益科技、華貝電子、歌爾智能など業界のリーダー企業が新たに立地し、成長を果たしている。

中国の産業上位100区の中で2位である広州市の黄埔区は、新エネ車や集積回路、美容・ヘルシー、バイオメディカルなどの新興産業が発達しており、低空経済、水素エネルギーや蓄電、AI、大規模言語モデル(LLM)など次世代型産業が成長している。

製造業が盛んな仏山市順徳区は、いずれも3000億元(約6兆1772億円)以上の規模を誇る家電、機械設備の産業群を抱え、市内の区としては中国で初めて産業生産額が1兆元に達した。区内にある美的(Midea)の庫卡(KUKA)インテリジェント製造サイエンスパークは中国最大の産業用ロボット生産基地となり、これまでの納入台数は8万台以上となっている。

また順徳区の北滘には、KUKA、中設機器人(ZSROBOT)、埃斯頓(ESTUN)などの産業用ロボット大手のほか、博智林(Bright Dream Robotics)、海創大族(HITRom Hans)、凱碩捷瞬機器人、楽普電機(Lepu Motor)などで、建筑用ロボット、サービスロボット、次世代インテリジェント移動ロボット、ライトハウス工場におけるロボットの導入など、特色ある事業が行われている。

(中国経済新聞)