ジャガー・ランドローバーの中国法人と奇瑞汽車との提携による販売サービス会社(IMSS)が大規模な人員削減をすると伝えられた。対象者は全体の50%以上で、中でも市場部の上級幹部以上はほぼ全員であり、残された幹部は降格となる。IMSSはまた、退職手続きのスピード化窓口を設けており、退勤時間後に会議に招き、翌日出社時に契約をして関係物などを速やかに引き渡し、その日のうちに会社を去る。また契約の有無にかかわらず、交渉室から出た時にはメールアドレスやIDカードなどが無効となるという。こうしたIMSSの方法についてジャガー・ランドローバー中国法人は、構造改革や人員整理の実施は認めながらも、「大規模なリストラ」については否定している。
IMSSは、ジャガー・ランドローバー中国法人と奇瑞が2014年、輸入車の利益はジャガー・ランドローバーに帰属し、奇瑞の収益は外国側と折半とするとの方針で、輸入車や中国産車の販売、マーケティング、サービス、ブランド整備の担当部門として発足させた。両者を結び付ける運営会社で、橋渡し役を果たすものとなっている。
ところがその後10年以上、利益を巡って両者のせめぎ合いが間断なく続き、緩慢な組織構成となったIMSSはバランス役と輸入という2つの重責を賄い切れず、板挟みの中で協調や橋渡し役を果たせなくなった。こうした中、営業、販売、サービスなど各方面の業務の結び付けを担うべきトップも猫の目のように交代し、極めて不安定な経営体制のもと、車の電動化における中心市場である中国での販売量も下落の一途をたどっている。
ジャガー・ランドローバーの幹部と親しいという関係者は、「奇瑞は、ジャガー・ランドローバーが合弁に向けて交渉していたころ、中国人の方が現地市場に明るいという理由で経営の中心になりたいと申し出た。ところがジャガー・ランドローバーが反対し、結局は仮想的で双方からの派遣者が管理する共同経営会社となってしまった」と述べている。IMSSの従業員の労働契約元は、半分近くがジャガー・ランドローバー中国法人であり、残りの半分は合弁会社である奇瑞・ジャガーランドローバーである。両者は目標や利益が異なっているため、IMSSは実態経営として資源の取り合いや内輪もめに苦しんでいるという。
IMSSのような組織構造は業界全体でも例がない。通常は合弁会社が販売会社または事業部門を抱える形をとり、仮に外国側の方が強いと、BMWやベンツの中国法人のように外国企業中心の構成になる。IMSSは、何らかのあいまいな形を残してしまったようである。
(中国経済新聞)