小鵬、ディディから買収した自動車製造事業を活用 投資額は両者合わせて約900億円に

2024/07/7 14:30

中国の新興電気自動車(EV)メーカー「小鵬汽車」(Xiaopeng)は7月3日、MONAシリーズの第1号となる「M03」の外観を初披露した。何小鵬会長は「オンラインでの予約受付を始めており8月に正式発売予定」と述べた。

MONAは、配車サービス大手のディディのEV研究開発プロジェクト「ダ・ヴィンチ」から生まれたもので、15万元(約333万円)クラスの市場を対象としている。小鵬は去年8月28日に、ディディのスマートEV事業の資産と研究開発部門の買収を発表し、今年4月の北京モーターショーでは「Made Of New AI」の頭文字をとった自社2つ目のブランド「MONA」を発表した。ただし最近の一部の発表で、MONAはブランドでなく新車種のシリーズに変わっており、今回の発表会で「M03」は小鵬のエンブレムを搭載している。

何会長は発表会で、「M03」の価格は20万元(約444億円)以下であり、MONAの開発でディディとともに投資した額は40億元(約887億円)に達したと述べた。

「M03」はニーズに応じた形で走行モデルを変えることができ、利用者に多くの選択肢をもたらすという。何会長は、同クラスの価格帯で最強の走行スキルを備えていると強調した上で、エネルギー消費の制御が巧みなので容量の小さい電池でもかなりの走行距離を実現し、コストダウンに役立ったと話している。

小鵬は2024年に入り、販売台数がほぼ横ばい状態である。新車の納入台数を見ると、6月は前年同期比24%増、前月比5%増の10668台で、今年上半期の累計は52028台であった。月間、累計ともに「零跑」や「蔚来」など同じ新興メーカーに水をあけられている中、主流マーケットを対象に据えたMONAは販売量拡大を後押しする期待が持てる。

何会長によると、MONAシリーズの車種は既存の各車種と差別化しており、販売目標は年間10万台という。北京モーターショーでは「今年後半には(MONAは)雷会長(小米の雷軍CEO)のSU7を上回る売れ行きとなる」と言い放っている。

この前に小鵬は、ディディと「ギャンブル契約」を結んでいる。ディディの分と一般販売の分が計10万台以上となればディディに対し対価として別途株式を与え、2年連続で18万台を超えればディディへの株式配分割合を5%とする、との内容である。

小鵬の顧宏地総裁は以前に、「ディディは小鵬のマーケットリソースを生かして営業をし、われわれは急速充電ステーションを共同で建設する。またディディはアプリを通じて『MONA』の利用者に小鵬のフィナンシャルや保険のプランを紹介し、さらに今後のRobotaxi運営でさらに連携していく」と述べていた。

ただし、何会長は今回の発表会で、「M03」について「『タクシー版』は出さない」と述べている。

(中国経済新聞)