12月18日、UAEのアブダビで行われた中国旅行大手・トリップドットコムのグローバルパートナーサミットで、同社の創業メンバーである梁建章取締役会長や孫潔CEOなどの幹部陣が、「世界のパートナーや皆さんはぜひ中国に旅行に来てほしい」と、インバウンド誘致を「PR」した。この中で梁会長は、「中国のインバウンド市場は底知れぬ潜在力があり、1000億~2000億ドル(約15.65兆円~31.30兆円)分の伸びが期待できる。これはGDPの1%~2%、貿易黒字額の30%~60%に相当する」と述べた。
中国はこのほど、トランジットビザ免除措置が緩和されて滞在時間が240時間に伸び、出入国検査場が21か所増えた。この措置が発表されてから30分間、海外のトリップドットコムのアプリにおける中国各地への検索件数は、ヨーロッパで85%、アメリカ州で163%、アジア太平洋地域で116%それぞれ増加した。増加率を国別に見ると、フランス、カナダ、ロシアが上位3か国となっている。
孫CEOはこのサミットで、「これから3年ないし5年は旅行業が大変盛況になる。渡航に追い風となる措置が続々と打ち出されているからだ。入国の便利化はわれわれ旅行業界の好材料であり、政府もかなりの支援策を発表している」と述べた。
孫CEOによると、今年海外から中国に入国した人の数は、ビザ免除措置の実施を受けて2019年の90%まで回復しているという。トリップドットコムのデータでは、中国の国際航空便の数は現時点で2019年同期の80%前後まで回復しており、このうち欧州便の回復率(座席数)は96%に達している。ビザ免除対象国の拡大や入国関連のインフラが整備されたことで入国者数が急増しており、トリップドットコムによると現時点で2023年の2倍以上に達し、中でもビザ免除対象国である54か国は189%増と大幅な伸びを示している。これら54か国における前年比増加率のTOP 5か国は、イタリア、スペイン、ロシア、アイスランド、シンガポールとなっている。また外国人観光客のうち4に1人は中国への渡航経験があるという。
トリップドットコムはまた今後、宿泊事業についても取り組みを強化するという。同社副総裁で麗呈集団のCEOである陸昀氏は、「これから宿泊事業が大切な取り組み内容となる。一連のデジタル化運営ソリューションを使ってパートナー各社のデジタル化を支援する予定だ」と述べた。なお梁会長は今回のサミットで、「現在、フレキシブルな形の週休3日制導入を検討している。オフィスの環境改善や社員の満足度向上にもつながるし、旅行をしたり出産したりする時間も生み出せる」とも述べている。
(中国経済新聞)