中国アパレル大手のヤンガー、1470億円超で銀泰百貨を買収

2024/12/20 11:30

12月16日、中国の電子商取引(EC)最大手アリババグループは、中国の老舗百貨店「銀泰百貨」をアパレル大手のヤンガー(雅戈爾)に売却した。両者は12月17日に浙江省寧波で調印式を行っている。これまでの報道によると買収金額は70億~80億元(約1478億円~1690億円)とされており、ヤンガーグループの李如成会長の一族が出資したものともみられる。銀泰百貨はこの件についてコメントを出していない。

公開情報によると、アリババグループと銀泰百貨は2013年5月に両者が共同で物流会社「菜鳥網絡」を発足させる形で提携をスタートさせ、この年10月にはアリババが、オンラインから現場へ(O2O)の事業展開を共同で模索することで合意したと発表した。さらに同年11月、銀泰百貨がTmallの独身の日セールに参加し、中国全土の計29店舗でアリペイによる決済を導入している。2014年にアリババは53.7億香港ドル(約1063億円)で銀泰百貨の株式を取得し、同社の創業者である瀋国軍氏に次ぐ2番目の株主となった。さらにアリババは2015年5月、当時CEOだった張勇氏が銀泰の取締役会会長に就任し、6月30日に銀泰と経営統合すると発表した。

その後、銀泰が2016年6月にアリババから株式購入通知を受けたと発表しており、アリババから銀泰へのこの間の投資額は概算で約200億元(約4224億円)であったと見られる。アリババは、全額出資子会社のThe Libra Capital Greater China Fund Limitedを通じて銀泰の株を取得した上、当時副会長だった蔡崇信氏の保有株式も合わせると、グループとしての銀泰の持ち株割合が最大の27.90%となり、逆に瀋氏一族の出資率はそれまでの21.87%から17.56%に減った。

当時はアリババで「ニューリテール」という概念が生まれたころであり、銀泰百貨はこの戦略における重要な役割を負い、初めての現場側での事業実行先となった。銀泰はその後、2017年に上場を廃止してアリババの傘下に収まり、2018年はアリババが持ち株率をさらにアップして銀泰を完全に手中に収めた。

(中国経済新聞)