中国政府は疲弊している経済を振興するため、向こう数年間で10兆元(約215兆円)を超える財政刺激策を決定した。全国人民代表大会常務委員会(以下「常務委員会」という)で、11月4日から8日にかけて行われる全人代会議の最終日に地方政府の債務限度額を2026年までに計6兆元(約129兆円)規模引き上げる決定を承認した。これにより発行上限は29兆5200億元(約638兆円)から35兆5200億元(約768兆円)となり、地方政府が抱える隠れ債務の解消を進める。
中国の財政部(財務省)の藍仏安部長は11月8日、地方政府が抱える「隠れ債務」と呼ばれる簿外債務に関して総額10兆元(約215兆円)規模に上る対策を発表した。地方債の増発を認めて隠れ債務を圧縮し地方政府の負担軽減を狙う。
藍氏は、一連の措置で14兆3千億元(約308兆円)規模の隠れ債務を28年までに2兆3千億元規模に圧縮し、地方政府の金利負担を5年間で計6千億元(約13兆円)程度軽減するとの見通しを示した。
特別国債で地方政府の隠れ簿外債務対応を強化
今回、特別国債や地方政府の債券により調達する額の合計は中国のGDPの8%以上となる。世界第2の経済大国である中国はこのところ、不動産危機や地方政府の増え続ける債務問題の対応に追われている。