中国から輸入されるEVに対して2023年3月から40%の追加関税を導入しているトルコが6月8日、同じく中国から輸入される従来型ガソリン車とハイブリッド乗用車に対しても、7月7日から40%、金額にして1台当たり最低7000ドルの追加関税を徴収するとの大統領決定を発表した。
EUの執行機関であるヨーロッパ委員会は6月12日、中国のEVへの補助金調査に関する報告として、中国から輸入されるEVに対し7月から最高で38.1%の追加関税を徴収するとの対抗策を発表した。また、アメリカもその前の5月14日に、中国製の電気自動車に現状の4倍に当たる100%の制裁関税を課すと発表している。
7月14日に発表されたG7=先進7か国の首脳宣言で、中国製EVなど主要分野における生産過剰問題が世界に衝撃をもたらしていると初めて明記された。欧米各国が中国のEVや電池の販売に対してまとまった包囲網を形成し始めた、ということになる。ただしこの中で、多くの自動車メーカーが中国企業の電池をEV用に購入している日本は、態度を保留している。
ヨーロッパ委員会によると、サンプリングされた中国メーカーのBYD、吉利汽車、上汽集団の3社に対し、それぞれ17.4%、20%、38.1%の追加関税を課すという。
EUはまたこのほか、中国のバッテリーEV(BEV)メーカーの中で、調査に協力したがサンプリングされなかった会社には加重平均で21%、調査に協力しない会社にはすべて38.1%の関税をかけると表明している。
EUは現在、自動車に10%の輸入税をかけており、これに補助金対策となる前記の税率が加わると、バッテリーEVの輸入に際して10%プラス38.1%の合計48.1%が関税率となる。
シンクタンクであるキール研究所(Kiel)は、EUは中国製EVに20%の追加関税をかけた場合、輸入量が4分の1減ると見ている。
また欧州交通環境連盟によると、2024年、ヨーロッパで販売されたEVのうちほぼ4台に1台が中国輸入品であるが、このうち多くは、テスラを筆頭に、ルノーの子会社であるダチア(Dacia)のSpring、BMWのMiniやiX3など、西側メーカーが中国で生産したものである。ヨーロッパでは、中国メーカーが製造したEVの販売量はさほど多くはない。
世界でEVが最も普及しているというノルウェーは、政府統計局によると2023年の個人向け自動車の全販売台数のうち24%がEVであり、またノルウェー道路連盟(OFV)によると、輸入EVのうち12%以上が中国製であるという。
また、中国の業界団体「中国自動車工業協会」によると、2023年の新車輸出台数はEVやプラグインハイブリッド車(PHV)あわせて120万台で、そのうちヨーロッパに対してはEVが30万台ほどであり、有力な市場となっている。
中国ブランド車の中でEUでの販売に力を入れているのは、BYDや長城汽車、新興メーカーの上海蔚来汽車(NIO)などである。
(つづき)
(中国経済新聞)