中国の「共和国勲章」受章者である工程院院士の鐘南山氏は12月9日、広東省広州で、3年間に及ぶ新型コロナウイルスについて2人のスタッフとともに取材に応じた。
この中で鐘氏は、「中国は、オミクロン株が現れるまでの累計感染者数はおよそ10万人で、死亡率(死亡/感染者数)は4.65%であった。オミクロンが侵入したのち、特に9月以降に広州、四川省成都など大都市のデータを分析した結果、重症率は1%未満、死亡率は0.1%未満であることが分かった。すなわちオミクロンは発病性が低いということだ」と述べた。
中国の「共和国勲章」受章者である工程院院士の 鐘南山氏
また、「感染を防ぐ」から「重症化を防ぐ」に切り替わりつつある今、ワクチンの接種を強化することが重要になっている。これについて鐘氏は、中国産のワクチンは感染を予防する効果が海外品よりやや劣るが、副作用も少なく、より安全であるという。また研究の結果、3回の接種を終えた場合、実験室の数値にしても実社会のデータにしても重症防止の効果に大差はないとのことである。「高齢者にとって一番大事なのは重病にならないことだ。ワクチンをすべて(追加分も含めて)接種することは、高齢者が重症化を防ぐのに大変有効な方法である」と述べている。
また鐘氏によると、カタールの研究ではオミクロン感染後は症状の有無を問わず長期間にわたり再感染しない人が78%に達しているほか、デンマークでの検体数万人に対する研究の結果、オミクロンは1回かかれば二度とかからない人が98%に達しているという。「これらの結果から、オミクロンにかかることはワクチンを接種するようなもの」という。ただし鐘氏は「もちろんオミクロン感染を勧めているわけではない」とも強調している。
鐘氏のスタッフによる推計および香港や日本などの状況を参考に総合的に判断した結果、広州は来年1月上旬から2月半ばごろが感染のピークであり、3月上旬には安定段階に入って、来年前半にはコロナ前の生活を回復できるとの見通しである。
(中国経済新聞)