猛暑が続き、中国各地で電力の需給が逼迫している。最近、四川省、安徽省、浙江省、江蘇省などでは、住民の電力消費を確保するため、「有序用電」(秩序ある電気の使用と管理)モデルを開始し、電力供給問題が再び社会の注目の的となっている。
特に大工業地帯である四川省の状況は厳しい。7月以降、四川省の電力負荷が過去最高を記録し、電力供給の状況は非常に深刻で、県は「有序用電」モデルを開始することを決定、製造業に対して電力供給を制限し操業を停止させ、市民が電力を使用できるようにした。これにより、8月16日までに、四川省の16,000以上の企業が生産停止に追い込まれ、その中にはトヨタ自動車の合資会社も含まれている。
四川省のほか、安徽省、浙江省、江蘇省などでも電力供給が逼迫しており、現在、浙江省寧波市では、3,300社以上の企業が率先して国家電力網のピーク時の電力需給に対応し、生産計画を調整している。
安徽省は「節電をするための市内の電力受給者に対するイニシアチブ」を発行し、その中で、今年の夏、市内の電力需給はかなり逼迫しており、製造業は科学的かつ合理的に生産シフトを調整してピーク時の電力を回避すること、また、ピーク時の電力供給のプレッシャーを軽減するために積極的にサポートするよう求めている。
江蘇省南京市は「節電のイニシアチブ」を発表し、国の事業部門は率先して節電に取り組み、製造業は電力を厳格かつ科学的に使用し、公共の場においては電力の合理的使用を強化し、家庭生活でも節電を提唱するよう求めている。
厦門大学中国エネルギー政策研究院の林伯強院長は、今年は気温が高いことに加え、「水不足」の問題も深刻であると指摘している。実際、7月以降、長江流域の降水量は前年同期比4割減で、1961年以来の同時期で最も少なく、河川からの水量も20%から80%少なくなっている。
林氏は加えて、「水不足は水力発電の大幅な不足を招いており、例えば四川省では、水力発電が主体となっている。供給面では、今年、この地域の降水量が大幅に減少し、主要な流域の水力発電出力が急激に低下したことが、四川省の電力不足の主な原因となった。例年、四川省の電力供給はより豊富で、他の省の電力をサポートしていたが、今年は逆に、他の省が四川省をサポートする必要があるかもしれない」と述べた。
(中国経済新聞)