「AI健康管理」が中国で急拡大 「アント・アーフー」ユーザー1.5億人に

2026/09/12 11:30

中国の螞蟻集団(アント・グループ)が提供するAI健康アプリ「螞蟻阿福(アント・アーフー)」のユーザー数が1億5,000万人に達したことが明らかになった。1日当たりの健康相談件数は約2,000万件に上るという。

9月10日、「2026 Inclusion 外灘大会」の健康産業発展フォーラムで発表された。アント・グループの副総裁で、健康事業群の総裁を務める張俊杰氏は、今後、AIを活用した健康管理への投資を一段と強化すると表明した。

これまで体重管理を中心としてきた「アント・アーフー」のサービスを、今後は体重、食事、運動、睡眠、心理の5つの主要領域へと拡大する。さらに、「アント・アーフー」アプリのトップページには新たに「健康」セクションを設置し、ユーザーが必要な健康サービスにより簡単にアクセスできる環境を整える。

中国では「健康中国」政策の深化に伴い、医療・衛生サービスの重点が「病気を治すこと」から「健康を維持・増進すること」へと移りつつある。

「国民健康十五五計画」でも、全ての人を対象に、あらゆる側面と生涯の各段階をカバーする健康サービスの最適化や、健康増進・疾病予防の強化が掲げられている。

こうした流れを背景に、AI技術は日常的な健康管理にも急速に浸透している。これまで専門的な知識や機器が必要だった健康状態の把握をAIが支援することで、体重や睡眠、運動などの状態を日常的にモニタリングし、改善につなげることが可能になってきた。

アクセンチュアの調査によると、2021年から2025年にかけて、中国人の健康に対する関心度は9ポイント上昇し、87%に達した。仕事や財産などを上回り、健康が最も関心の高いテーマとなっている。

「アント・アーフー」は今年6月末、中国政府が推進する「体重管理年」に呼応して、「科学的に1億斤(5,000万キログラム)減量」を目標とする健康キャンペーンを開始した。

これまでに全国で275万人を超えるユーザーが参加し、累計減量幅は500万斤(約250万キログラム)を超えたという。

このうち、23万人以上が5~10斤(約2.5~5キログラム)、5万人以上が10~20斤(約5~10キログラム)の減量を達成。また、8万人以上については、BMI(体格指数)が過体重・肥満の範囲から正常範囲に改善したとしている。

「アント・アーフー」が目指す健康管理の特徴の一つが、「AI+ハードウェア+サービス」を組み合わせた仕組みだ。

アプリでは従来、トップページに設置された「アント・アーフー(阿福)」対話画面を中心にAIとのやり取りを行っていたが、新たに「健康」セクションを設けることで、健康関連サービスへ直接アクセスできるようにした。

ユーザーはスマートウォッチやスマートバンドなどのウェアラブル機器を連携させたり、日々の食事内容を記録したりすることで、体重や睡眠をはじめとする10種類以上の健康データを確認できる。これらの情報をもとに、健康状態を分かりやすく評価し、個人に合わせたアドバイスを提供する。

また、「AI食事撮影」「AIエネルギー管理」「AI減量コーチ」などのサービスも相次いで投入。過去のデータを分析し、タンパク質の摂取量が不足している場合に通知するなど、ユーザーの健康状態に応じてAIが能動的に助言や注意喚起を行う仕組みも導入している。

今後、「アント・アーフー」はスマートデバイス、健康食品、スポーツ・栄養関連企業などとの連携をさらに強化し、体重、食事、運動、睡眠、心理という5つの主要領域を軸に、より専門的かつ個人に合わせた健康ソリューションの開発を進める。

AIによる健康管理が、単なる健康相談ツールから、日々の生活データを継続的に分析し、予防や生活習慣の改善まで支援するサービスへと進化する中、「蚂蚁阿福」は中国におけるAI健康サービスの普及を加速させる存在となりそうだ。

(中国経済新聞)