2025年、湖北省が人形ロボット産業の育成に向けた取り組みを本格化させている。豊富な大学・研究機関を抱える科教資源と、自動車産業を中心とした製造業の強みを背景に、産業チェーン全体の構築を急速に進めているためだ。
すでに省内では、人形ロボットの完成機体を手がける企業に加え、関節アクチュエーター、芯片(半導体)、力覚センサー、そして高度な精密操作を可能にする“灵巧手(デクスタラスハンド)”などの核心部品メーカーが集積しつつある。研究開発から量産化まで、一貫した技術体系を形成する動きが加速している点が特徴だ。
湖北人形ロボットイノベーションセンターでは、開発中のロボットに対して多様な実証場面を用意し、実用化に向けた高度なデータ収集を日常的に行っている。写真にあるように、データ採集員がカフェ店舗を模した環境で人形ロボットを操作し、接客や物体操作に関する動作データを蓄積している。この“実シーンに近いデータ”は、ロボットの認識精度や動作判断能力の向上に不可欠であり、各企業の技術競争力を左右する鍵となる。

人形ロボットは、製造現場、物流、医療・介護、サービス業など幅広い分野での活用が期待され、世界的に“次の産業革命”を担う注目領域として投資が集中している。湖北省は、この新産業を地域発の戦略的成長エンジンとして位置づけ、産学研連携や実証フィールドの整備、政策支援を重ねることで、全国でも有数のロボティクス拠点となることを目指している。
製造強省を掲げる湖北にとって、人形ロボット産業の台頭は単なる新産業育成ではない。技術革新と産業高度化を象徴する新たな象徴となりつつある。省内での企業集積と技術体系の整備が進む中、湖北のロボット産業は今後数年で大きな飛躍期を迎えるとみられる。
(中国経済新聞)
