アリババ、即時小売を再編へ 「餓了麼」アプリが「淘宝閃購」に改名

2025/11/4 19:24

1月4日、中国のSNS上で「餓了麼(ウーラマ)APP更名为淘宝閃購(タオバオ閃購に改名)」がトレンド入りした。主要アプリストアを確認すると、現在「餓了麼」アプリのアイコンにはすでに「双11 淘宝闪购」の文字が表示されている。「餓了麼」および「淘宝閃購」の統合について、両社は記者の問い合わせに対し、記事執筆時点でコメントしていない。

アリババ・グループにとって、「餓了麼」と淘宝閃購はいずれも即時小売(オンデマンドリテール)戦略の中核を担う事業であり、両者の一体化は時間の問題とみられている。

アリババは今年4月30日、京東(JD.com)や美団(Meituan)との競争が激化する中で、「淘宝閃購」を正式に立ち上げた。同サービスは、タオバオ・天猫傘下の即時配送サービス「小時达(1時間達)」をアップグレードしたもので、タオバオのホーム画面に「閃購(フラッシュセール)」の専用タブを設置。初日から50都市で展開を開始し、5月6日には全国に拡大した。

立ち上げ当初から、餓了麼は深く関与していた。両者は共同で消費者補助金キャンペーンを実施し、餓了麼の店舗供給網や配達員ネットワークを淘宝閃購に全面開放した。淘宝閃購のプロジェクト担当者は当時、「淘宝閃購の成功は、タオバオが長年培ってきた即時小売ノウハウと、餓了麼の物流・履約・地図など基盤能力の成熟が結実したものだ」と説明していた。

8月には日間注文数1.2億件を突破——その後、「餓了麼」のサポートとアリババによる大規模な補助金投入が功を奏し、淘宝閃購の取引は急拡大。今年8月には、日間注文数が1.2億件、週平均注文数が8000万件に達し、月間アクティブ購入者数は3億人と、4月比で200%増を記録した。

アリババ中国電子商取引事業グループの蒋凡CEOは8月の決算説明会で、「淘宝閃購は規模・ブランド認知の両面で想定を超える成長を遂げた。今後は業界最高効率を目指す」と強調。さらに、天猫ブランドの実店舗を淘宝閃購に積極的に取り込む方針を示し、「今後3年間で100万店以上のブランド実店舗を参入させ、1兆元規模の取引増を見込む」と述べた。

「餓了麼」との融合が鍵に——蒋凡氏はまた、「餓了麼の進歩は市場シェアに表れにくいが、基盤構築の成果は確実だ。淘宝閃購の急成長は饿了么の能力の証明であり、両者の統合がアリババの『遠・近・中距離一体化戦略』の基礎となる」と語った。

今回の「餓了麼=淘宝閃購」改名をめぐる動きは、アリババが即時小売とECの融合を一段と進めるシグナルと受け止められている。とくに「遠場(EC)」「近場(到店)」「中場(即時配送)」を統合した「大消費」戦略の中で、淘宝閃購は非飲食系の配送や店舗受取(Click & Collect)など、新たな役割を担い始めている。

市場関係者の間では、今回の改名が単なるブランド変更にとどまらず、アリババが即時小売の全体戦略を再編する前兆ではないかとの見方が強まっている。

(中国経済新聞)