中国、加拿大への団体旅行業務を再開 

2025/11/3 18:34

中国外務省は11月3日、旅行社による中国国民の加拿大向け団体旅行業務を再開すると発表した。毛寧報道官は同日の定例記者会見で、中国人観光客の出境需要や現地の旅行環境などを総合的に考慮した結果だと説明。「これにより、中加両国の人的交流をさらに促進し、両国民の相互理解と友好を深めることができる」との見通しを示した。2020年の新型コロナ禍で中断されていた同業務が、約5年ぶりに本格復活する。
毛寧報道官は会見で、記者の質問に対し次のように述べた。「中方は、中国人観光客の出境需要、現地の旅行環境など各方面の状況を総合的に考慮し、旅行社が中国国民の加拿大向け団体旅行業務を再開することを決定した。これにより、中国と加拿大の人的往来をさらに促進し、両国民の相互理解と友誼を増進させるものと信じている」。さらに、「我々は加方と共同で努力し、両国民の往来にさらなる利便性を提供したい。また、加方にも歩調を合わせて、中国人観光客に安全で快適な旅行環境を提供してほしい」と呼びかけた。
この決定は、中国の出境観光市場の回復を象徴するものだ。中国文化観光部によると、2023年1月から段階的に海外団体旅行を再開し、現在は英米仏独など138カ国・地域が対象となっている。加拿大はこれまで、外交摩擦の影響でリストから除外されていたが、2025年に入り両国関係の改善兆しが見え、再開に至った。中国駐カナダ大使館のデータでは、2024年の中国人過夜観光客数は28.6万人に達し、前年比43%増と急回復。航空便も北京・上海・広州発の直行便が週30便以上に拡大し、インフラ面での整備が進んでいる。
背景には、中加関係の変動がある。2019年以前、加拿大は中国人観光客にとって人気の目的地で、年間数十万人が訪れ、経済効果は数百億カナダドルに上っていた。しかし、2020年のコロナ禍に加え、ファーウェイの「孟晩舟事件」や中国系「警察署」問題、外国干渉疑惑などの政治的緊張で、2023年5月まで団体旅行が禁止されていた。

(中国経済新聞)