小米科技(シャオミ)は9月8日、「小米グループ職業倫理委員会」が社内メールを通じて、中国区市場部の王騰(ワン・テン)が企業機密情報の漏洩および利益相反を含む重大な規律違反を犯したとして、解雇処分としたことを発表した。王騰はこれまで小米中国区市場部総経理およびRedmiブランド総経理を務めていた。同日、王騰は自身の微博(ウェイボー)で「過去にいくつかの過ちを犯し、その代償を受け入れる」と応じた。
小米の発表によると、王騰は機密情報の漏洩に加え、利益相反行為に関与していたことが判明。これらの行為は、同社の厳格なコンプライアンス規定および職業倫理基準に違反するものであった。王騰の具体的な違反内容については、公式発表では詳細が明らかにされていないが、過去の事例を踏まえると、小米の機密保持に対する姿勢は極めて厳格であることが伺える。
王騰は以前から情報漏洩に関連する問題で注目を集めてきた。2022年4月には、当時小米河南省分公司総経理だった王騰が、Redmi K50標準版の発売時期を微博で不用意に公開したとして、二次漏洩と判定された。この際、会社は彼に対し警告処分、年間昇進の取消、業績ボーナス5000元の控除、季度評価点数10点の減点を科した。さらに2024年8月、雷軍CEOはライブ配信で「小米の機密保持制度は非常に厳しく、王騰は頻繁に漏洩で罰金を科されている」と冗談交じりに言及し、彼の「漏洩癖」が社内外で話題となっていた。

2024年10月には、来る小米15シリーズの発表を前に、王騰が再び情報漏洩のリスクを指摘され、製品マネージャーの魏思琪(ウェイ・スーチー)から「謹言慎行」と書かれたTシャツを贈られるというエピソードが話題を呼んだ。このTシャツは、情報管理の重要性を改めて警告する象徴的な出来事として、ネット上で広く議論された。
小米は、競争の激しいスマートフォンおよびテクノロジー業界において、新製品の情報管理を極めて重視している。機密情報の漏洩は、市場競争力の低下や投資家信頼の損失につながる可能性があるため、同社は厳格な情報管理体制を構築している。2023年12月には、小米汽車に関する実車写真の漏洩事件が発生し、3人の従業員が解雇され、永久不採用の処分を受けた。この際も、雷軍は公式声明で「悪意ある漏洩とデマに対する法的責任を追及する」と強調した。
また、2024年6月には、2人の高級管理職が利益相反を含む違反行為で解雇されるなど、小米は社内の腐敗や規律違反に対する「反腐敗の嵐」を展開している。今回の王騰の解雇も、この一連の企業統治強化の流れに沿った措置と考えられる。東方財経の分析によれば、テクノロジー業界全体で情報漏洩や利益相反に対する監視が強化されており、小米の措置は業界全体のトレンドを反映している。
王騰は小米およびRedmiブランドで重要な役割を果たしてきた人物だ。2020年にRedmiチームに製品ディレクターとして加わり、特にRedmi K40シリーズの成功で知られる。同シリーズは中価格帯市場で圧倒的な販売実績を誇り、彼の手腕が高く評価された。しかし、情報漏洩問題による2021年の河南省への「異動」は、一部で「左遷」とも揶揄されたが、王騰自身はこれを「異なる部門での学びと成長の機会」と説明している。2023年8月に北京本社に戻り、Redmiブランド総経理に昇進したが、今回の解雇により彼の小米でのキャリアは終焉を迎えた。
(中国経済新聞)