中国のアナログ半導体設計大手、聖邦微電子(北京)股份有限公司(証券コード:300661.SZ、以下「聖邦股份」)は、国際化戦略の一環として香港証券取引所メインボードへのH株上場を計画している。資金調達手段の多様化や国際的ブランド力の強化、優秀な研究開発・経営人材の獲得を狙う。
聖邦股份は2007年に設立され、主にアナログ半導体の設計・開発・販売を手掛けている。製品は消費電子、通信機器、産業制御、車載電子など幅広い分野に供給されている。2017年には深セン創業板に上場し、その後は大連阿爾法、钰泰半導体、萍生微電子、上海方泰など複数の半導体関連企業を買収し、事業規模を拡大してきた。
しかし、2023年には世界的な電子産業の需要低迷や顧客の在庫調整の影響を受け、同社の「買収による拡張」戦略は一旦停止。売上高と純利益はいずれも減少し、成長にブレーキがかかった。
最新の2025年上半期決算によると、売上高は18.19億元(約3,820億円、前年同期比15.37%増)とプラス成長を維持したが、成長率は前年同期に比べ21.90ポイント低下。純利益は2.01億元(約420億円)で同12.42%増加したものの、これは非経常的利益の寄与による部分が大きい。実際の事業収益力を示す「非経常損益除く純利益」は1.34億元(約280億円)と、前年同期比14.98%減少した。純利益率も2022年の水準の4割程度にとどまり、本業の収益力は明らかに圧迫されている。
製品別では、主力の電源管理チップが売上高11.27億元(約2,370億円、前年同期比8.16%増)を計上したが、粗利益率は44.64%と前年同期比で5.11ポイント低下した。
国内アナログ半導体設計分野のリーディングカンパニーである聖邦股份が、香港市場での資金調達をてこに再びM&A戦略を推し進め、業績回復につなげられるかは今後の注目点だ。
株価面では、2025年9月4日の終値時点で時価総額は約440億元(約9兆2,400億円)。ピーク時からは500億元(約10兆5,000億円)以上が失われ、下落率は53.22%に達している。
(中国経済新聞)