ZTEとMTN、世界初の5バンドRRUを商用展開

2025/09/6 07:30

ZTE(0763.HK/000063.SZ)とアフリカの通信事業者MTNは、世界初となる5バンド遠隔無線ユニット(RRU)の商用展開に成功した。導入は南アフリカ西ケープ州で行われ、無線周波数技術の分野における大きな進展とされている。今回の成果は、アフリカの通信産業における技術進化を後押しするものだ。

南アフリカは6,000万人を超える人口を抱え、同国最大級の通信市場の一つとなっている。MTNは国内で97%以上のLTE人口カバレッジを持ち、遠隔地を含む広範囲に通信サービスを提供している。

モバイルネットワークではマルチバンド対応が進む一方で、消費電力、タワーへの負荷、設置スペース不足といった課題がある。MTNが導入した5バンドRRUはこれらの課題に対応し、ネットワーク性能の向上、エネルギー効率改善、導入の効率化を実現する。

ZTEが開発したチップセットを搭載したこの5バンドRRUは、MTN南アフリカの低帯域・中帯域(FDD)を一つのユニットに統合。タワー上のRAN無線周波数モジュール数を50%削減し、重量を23%軽減、風圧抵抗を18%抑えることに成功した。これによりサイト建設が効率化され、タワースペースの有効利用が可能になる。

さらに、ZTE独自の「Super-Nアンプアーキテクチャ」は、高密度に配置されたパワーアンプを必要に応じて起動させる方式を採用。従来のドハーティ方式での効率低下を克服し、負荷変動時でも高効率を維持できる。その結果、サイト全体の消費電力を42.7%削減し、エネルギー効率を45.8%改善した。南アフリカの低炭素社会構築に貢献すると同時に、持続可能な通信インフラの新たな基準となる可能性を示している。

MTN南アフリカのCTO、ラミ・ファラは「5バンドRRUはカバレッジ、容量、コスト、エネルギー効率といった課題に応えるソリューションであり、アフリカや世界の通信ネットワークの効率化と低炭素化を加速させる」と述べている。ZTE南アフリカのCEO、ルカ・シェンも「MTNとの協力は南アフリカの通信高度化を促進し、アフリカ全体のデジタル変革の指標となる」とコメントしている。

両社は今後も通信インフラの発展に取り組み、省エネルギーや排出削減、デジタル経済の拡大を重視する方針だ。共通のビジョンとして「テクノロジーで自然を守り、イノベーションで未来を拓く」を掲げ、デジタル格差の解消や持続可能なネットワーク構築を進めていく。

今回の導入は、アフリカのデジタルトランスフォーメーションを前進させるとともに、技術革新が経済成長と環境持続性を同時に実現する可能性を示している。

ソース: ZTE Corporation

(中国経済新聞)