9月2日、中国の人型ロボット企業である杭州宇樹科技股份有限公司(以下、宇樹科技 UNITREE)が、2025年10月から12月にかけて中国証券取引所に新規株式公開(IPO)の申請を提出する計画を発表した。この発表は、ソーシャルメディアプラットフォーム「X」を通じて行われ、同社の事業に関する最新情報が公開された。宇樹科技は、中国のロボット産業を牽引する「杭州六小龍」の一角として知られ、四足ロボットや人型ロボットの開発で世界的な注目を集める。
宇樹科技によると、2024年の売上高のうち、四足ロボットが約65%、人型ロボットが約30%、その他の部品製品が約5%を占める。特に四足ロボットの約80%は、科学研究、教育、消費分野で使用され、残りの20%は点検や消防などの産業分野で活用される。一方、人型ロボットはすべて科学研究、教育、消費分野に特化して使用される。この売上構成は、同社が民間用途向けの高性能汎用ロボットに注力することを示す。

宇樹科技は2016年に設立され、浙江省杭州市に本社を置く企業である。設立以来、四足ロボットと人型ロボットの研究開発、製造、販売に特化し、独自のモーター、減速機、コントローラーなどの主要部品や高性能な感知・運動制御アルゴリズムを開発する。これにより、四足ロボット分野で世界的な技術リーダーとしての地位を確立した。2024年には、同社の四足ロボットが世界市場の約69.75%を占め、年間販売台数は2万3700台に達した。また、人型ロボット分野でも1500台以上を納入し、業界での存在感を強める。
宇樹科技のロボットは、特に2025年の中国春節 gala で16台の人型ロボット「H1」が東北地方の伝統的な「秧歌」を踊るパフォーマンスを披露したことで一躍有名になった。この公演は、宇樹科技の技術力と市場への訴求力を広くアピールする機会となり、資本市場からの注目をさらに集めた。また、2025年7月11日には、中国移動の入札で人型双足ロボットや計算パック、五指の器用なハンドの調達契約を獲得し、総額1.24億元という国内最大規模の人型ロボット関連の受注を記録した。これは、中国の人型ロボット産業が量産段階に入ったことを示す重要なマイルストーンである。
しかし、宇樹科技は課題にも直面する。例えば、人型ロボットのレンタル価格が当初の1万元前後から北京市では3000元程度に下落し、市場競争の激化が伺える。また、G1モデル(定価9.9万元)が中古市場で5~6万元で取引されるなど、価格下落の傾向が見られる。さらに、2025年3月には四足ロボット「Go1」にクラウドトンネルサービスの脆弱性が発見され、セキュリティ面での課題も浮き彫りになった。これらの課題を克服し、持続可能な成長を確保することが、今後のIPO成功に向けた鍵となる。
(中国経済新聞)