年商4000億元の家電大手Midea、「執行総裁」を設置 「後継者」浮上か?

2025/09/3 07:30

年間売上高4000億元以上という中国の美的集団(Midea、000333.SZ)は8月末、「執行総裁」を設け、48歳の王建国氏を就任させたと発表した。後継者選びに向けての動きと見られている。

2012年からMideaの会長兼総裁に就任し、10年以上トップを担っている58歳の方洪波氏は、今年5月のアナリスト会議で、「体系的な後継者の育成を実施しており、候補者は6、7人いる」と述べていた。今回の新たな役職設定については、引継ぎ計画が本格段階に入ったものと見られている。

公開情報によると、王氏は1999年にMideaに入社し、サプライチェーン、人材開発、冷蔵庫事業、国際事業、スマート家具事業などの基幹業務を歴任して、現在は執行取締役、副総裁兼Midea冷蔵機器部門の会長を務めている。様々な分野でマネジメント経験を積んでおり、次期トップ候補の中で最もトータル的なスキルを持っている。なお方氏は会長就任後、初めて経営権を別途付与する役職を設けたことになる。

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金融情報サービス大手のWindによると、Mideaは現在、取締役会や経営幹部がかなり若返っている。取締役会のメンバーでは、会長兼総裁である58歳の方氏、取締役兼副総裁(ロボット・自動化事業部総裁、クーカ監事会会長も兼任)である62歳の顧炎民氏、50歳の趙軍氏のほか、今回執行総裁に就任する王氏が48歳、副総裁兼スマート建築科技事業部総裁である管金偉氏が 46歳と、いずれも50歳未満である。

Mideaは経営幹部陣も中年層が主力であり、副総裁兼最高財務責任者(CFO)の鐘錚氏は44歳、副総裁兼最高個人情報責任者(CPO)の趙文心氏は43歳である。さらにCSO、品質・サプライチェーン総監を務める49歳の李国林副総裁、中国エリア総裁である43歳の柏林副総裁、家庭用エアコン事業部の総裁である40歳の趙磊副総裁も名を連ねる。

今回のMideaの人事調整について、「『後継者』は会社自身の先行きだけでなく業界全体の枠組みにも影響する」と考える中国家電商業協会の張剣鋒事務局長は、王氏が会長に就任する確率が「非常に大きい」と判断している。役職異動が発するシグナル、各部門における経歴の総合性、また国際化への取り組みへの深い関与がその理由という。

中国は家電大手の「政権交代」が加速しつつある。グリー電器は今年4月、71歳の董明珠氏の会長留任が決定したが、48歳の張偉氏を総裁に就任させている。会社発表によると董氏の取締役任期は2028年4月21日までであり、今回の人事調整はトップ交代への道のりの一歩目と見られている。

(中国経済新聞)