中国移動、上期売上高が6年ぶり減少 非採算事業の見直しが影響

2025/08/9 07:30

中国通信最大手の中国移動(チャイナ・モバイル)は7日、2025年上半期(1~6月)の決算を発表した。売上高は5438億元(約111.5兆円)と、前年同期比で0.5%減少。売上減は2019年以来6年ぶりとなる。一方、純利益は842億元(約17.3兆円)と5.0%増加し、上半期として過去最高を更新した。

1株当たり利益は3.90元で、前年同期比4.0%の増益。収益性は改善したものの、売上の微減が注目された。

中国移動の楊傑(ヤン・ジエ)董事長は、同日夜に開催された決算説明会で、減収の要因について「非収益性が高く、キャッシュフローの悪い一部プロジェクトを自らの判断で整理・縮小した結果」と説明。収益性の低い事業からの撤退によって、資源の選択と集中を進めたとしている。

中国移動は、5Gやクラウドサービス、デジタルソリューションなど「新産業エコノミー」分野への投資を強化しており、これまでの音声・通信中心の収益構造からの転換を図っている。

実際、同社が注力するデジタルサービス(DICT)分野の収入は前年同期比で20%以上の伸びを見せ、売上構成比も高まっている。一方で、従来の音声通話やSMSなど伝統的な通信サービスは伸び悩み、収益の足を引っ張った形となった。

業界関係者によれば、通信キャリア各社は現在、ARPU(加入者1人当たりの平均収入)の引き上げに苦戦しており、競争の激化や価格圧力も一因と見られている。また、AIやIoT関連サービスなど新領域への事業拡大が各社に共通する課題となっている。

中国移動は2025年下期においても、引き続き成長分野への集中投資を続ける方針を示しており、「収益の質と効率を重視した持続的成長」を目指すとしている。

同社株は7日、香港市場で前日比1.2%安の仕上がりとなった。

(中国経済新聞)