中国の幸福航空(Joy Air)が深刻な経営危機に直面している。2025年4月29日、経済観察報の取材に対し、同社の現役パイロットや地上スタッフが給与未払いの実態と生活の苦境を訴えた。
「会社は現在も給与を支払っていない。固定収入がなく、基本的な社会保険もないため、さまざまなアルバイトで家族を養っている。私は空いた時間にフードデリバリーの配達をしている」と、あるパイロットは語る。別の同僚は「給与が未払いのため、ネット配車サービスやデリバリーで家計を補っている」と明かした。パイロットたちは生活を維持するため、不動産仲介や民宿経営など、さまざまな副業に追われている。
地上保障スタッフの状況も同様に厳しい。あるスタッフは「1年以上給与が支払われておらず、社会保険や住宅積立金の支払いも2年以上滞っている。生活のプレッシャーが非常に大きい」と訴えた。
中国経済観察報によると、幸福航空の給与未払い問題は深刻で、ある社員は陝西省西咸新区社会事業サービス局に相談を持ちかけた。2025年3月、同局は西咸新区労働保障維権センターが幸福航空に対し、未払い給与の支払いを求める行政処理決定を下したと回答した。しかし、状況は改善していない。
幸福航空は2008年に中国航空工業集団が設立した航空会社で、2018年11月には陝西省と西安市が同集団と協力し、西安航空航天投資股份有限公司が中心となって同社を再編。陝西省の国有資本が支配する唯一の航空会社となり、西安咸陽国際空港を主要拠点としてきた。しかし、現在、幸福航空は全便の運航を停止している。
給与未払いと運航停止が続く中、社員たちは生活のために奔走している。パイロットやスタッフの声は、幸福航空の経営危機が単なる企業問題にとどまらず、従業員の生活に深刻な影響を及ぼしていることを浮き彫りにしている。
(中国経済新聞)