中国河北省廊坊市に住む張さんは、最近、不動産取引の悪夢に直面した。7年前、440万元(約8836万円)で購入した中古の別荘について、所有権移転時に使用された購入領収書が偽造だったことが発覚したのだ。この偽造領収書により、張さんは70万元(約1405万円)もの追加納税を求められている。驚くべきことに、この偽造領収書を使って作成された不動産登記は、公式のシステム内で7年間も問題なく「存続」していた。これは映画の話ではなく、2025年に実際に起きた不動産取引の混乱の実例である。
データによると、2024年だけで中国全土で1万2000件の違法な不動産仲介業者が摘発され、そのうち17%が取引書類の偽造に関与していた。「偽造領収書で本物の不動産登記を行う」という行為が、すでに一つの産業チェーンと化している。このような状況では、一般市民が一生かけて貯めたお金が、瞬時に払いきれない税金の領収書に変わってしまうリスクがある。
張さんのケースは、不動産市場における不透明な慣行と監督の欠如を浮き彫りにしている。偽造書類が長期間見過ごされる背景には、仲介業者と一部の公的機関の癒着や、システムの漏洞が指摘されている。このような問題は、購入者の信頼を損なうだけでなく、不動産市場全体の健全性にも悪影響を及ぼす。
中国政府は近年、不動産市場の規制強化を進めているが、偽造書類による被害は依然として後を絶たない。普通の市民が安心して住宅を購入できる環境を整えるため、さらなる法執行の強化と透明性の向上が求められている。張さんのような被害者が二度と現れないよう、当局の早急な対応が期待される。
(中国経済新聞)