年一度の中央経済政策会議が12月11、12両日に北京で開催され、習近平中共中央総書記が会議で重要談話を発表した。
習総書記は重要談話の中で2024年の経済政策を総括し、現在の経済情勢を分析したうえで、2025年の経済政策の方針を打ち出した。
会議では、「来年の経済政策を達成するには、『習近平による新時代の中国の特色ある社会主義思想』を指針とし、中国共産党第20回全国代表大会(第20回党大会)と中国共産党第20期中央委員会第2回全体会議(二中全会)及び第3回全体会議(三中全会)の精神を全面的に貫徹・実行し、『安定を維持しながら前進』という政策の総基調を堅持し、新たな発展理念を完全で正確かつ全面的に貫徹し、新たな発展構造の構築を加速し、質の高い発展を着実に推進し、さらに全面的に改革を深め、高水準の対外開放を拡大し、現代的産業システムを構築し、発展と安全をより良く統合的に計画し、より積極的で有為なマクロ政策を実施し、国内需要を拡大し、科学技術革新と産業革新の融合的発展を推進し、住宅市場と株式市場を落ち着かせ、重点分野におけるリスク及び外的な衝撃を防止・解消し、見通しを安定化させ、活力を引き出し、経済の持続的な回復・好転を後押しし、国民の生活水準を不断に高め、社会的調和・安定を維持し、第14次五カ年計画(2021~25年)の目標と任務を高い質で達成し、第15次五カ年計画(2025~29年)において良いスタートを切るための基礎を固める必要がある」との指摘が行われた。
中央経済政策会議の先に、中共中央政治局は12月9日に会議を開催した。
現在の経済情勢と2025年の経済政策に関して、政治局会議は3つの重要なシグナルを発した。
一つ目のシグナルは、経済成長を力強く安定させることだ。
会議では、2025年の経済政策を着実に進めるには、「より積極的で有為なマクロ政策を実施する」必要があることが明確にされた。会議に基づき、2025年はより積極的な財政政策と適度な金融緩和政策を実施し、政策手段の選択肢を拡充・整備し、「超常規反循環的調整」を強化することが必要になる。
公式の発表を見ると、中国の財政・金融政策パッケージはこれまで長年にわたり「積極的な財政政策と安定的な金融政策」というものだった。
今では、財政政策は「積極的な」から「より積極的な」に変わり、金融政策は「安定的な」から「適度な金融緩和」に変わった。これはグローバル経済の経済回復ペースが鈍化し、外部情勢における厳しく複雑で、不安定かつ不確実な要因が増大する中で、来年の中国が情勢の変化に応じ、より強力な反循環的調整によって、経済の安定した成長のために支えを提供することを意味する。
このほか、会議では消費の振興と投資収益の向上に力を入れ、国内需要を全方向的に拡大する必要があることが打ち出された。
今年に入ってから、大規模な設備の更新と消費財の買い換えの政策が持続的に効果を上げるのにともない、消費市場は大きく回復・好転した。「力を入れる」や「全方向的な」といった表現から期待されるのは、2025年の中国は内需の拡大においてより多くの着実かつ力強い政策パッケージを打ち出すことだ。
二つ目のシグナルは、改革の促進に努めることだ。
会議では、経済体制改革の牽引作用を発揮し、目安となる改革措置の実行と奏功を促進する必要があることが明確にされた。
先に「さらなる改革の全面的深化、中国式現代化の推進に関する中共中央の決定」が経済体制の改革について一連の政策・計画を打ち出しており、たとえば市場参入制限のより踏み込んだ撤廃、インフラの競争的分野についての経営主体に向けた公平な開放の推進、全国統一市場と公平な競争を妨害する各種の規定・手法の整理と撤廃、市場経済の基礎的制度の整備などがある。
今回の会議では目安となる改革措置の実施が効果を上げるよう推進することが要求され、これは中国共産党第20期中央委員会第3回全体会議(三中全会)の決定を実施する重要な意義であるだけでなく、中国経済の質の高い発展の実現を推進する上での必然的な要求でもある。
改革が青写真から現実に変わるのにともない、中国の市場環境はより公平な、より活力があるものとなり、国民経済の循環もよりスムーズなものになるだろう。
三つ目のシグナルは、リスクの予防に注力することだ。
中国経済は現在、中国内外の複雑な情勢に直面している。一方で、主要なエコノミーが相次いで金利引き下げ周期に入り、保護貿易主義、一国主義、地政学的衝突が交錯している。他方で、中国国内経済は構造調整のトランスフォーメーションという重要な時期にあり、発展が直面する困難と課題が増大している。
この状況の中、会議では重点分野のリスクを効果的に予防し解消すること、システミック・リスクが発生しないとの最低ラインを着実に守り抜くことが明確に要求された。
一部の持続的に警戒すべきリスクポイントについては、今回の会議でも明確に取り上げられた。たとえば「不動産市場・株式市場の安定のキープ」という会議での表現から、来年は中国が不動産市場の下げ止まりと安定回復、株式市場の安定的な運営を推進する上でより多くの実質的な措置を打ち出すことが予想される。