資生堂は2024年度1~9月の決算について、売上高は7228億円で前年同期より3%減にとどまったものの、利益が思わしくなく、中心となる営業利益は同26%減の274億円であった。この発表を受けて株価も7%値下がりして今年最低の2959円となり、時価総額はおよそ1兆円となっている。
Q3の収益を地域別に見ると、日本が5%プラス、中国が13%の大幅減、アメリカが9%減、EMEAが 7%減で、トラベルリテールは38%も落ち込んでいる。
資生堂はこのような業績不振について、特に中国の海南島や韓国など利益の出るトラベルリテール事業における落ち込みを理由に挙げている。海外の化粧品メーカーがかねてからトラベルリテールの主要市場としている免税販売の拠点の海南島で、今年1-9月の売上高が30%以上も落ち込んだ。これについて資生堂は、中国人の買い物の仕方が変化したこと、また消費の期待度が落ちたためと見ている。
資生堂は、全売上高の4分の1を占める中国市場が、この第3四半期は唯一2桁減を記録したほか、今年1~9月で見ても8%の減少であった。
また、今年1~9月の中国での資生堂の主な傘下ブランドの実績を見ると、メインのSHISEIDOが前年同期より20%以上も落ち込んだ一方、高級スキンケアのクレ・ド・ポーボーテ(Clé de Peau Beauté)やコスメブランドのNARSは1桁台の伸びを示した。
資生堂はこうした結果から、レディースファッション「ザ・ギンザ(THE GINZA)」などさらに別のブランドを中国に導入し、Tmallなどでオンライン販売を始めている。今年4月には高級スキンケアの「ドランク エレファント(DRUNK ELEPHANT)」を中国本土に上陸させると発表しており、1、2線都市のセフォラの店舗250か所で販売するという。
業績の振るわない資生堂は11月末、2024年から2025年にかけて日本と中国で、人員削減や不採算店舗の閉店といったコスト削減への構造改革を行うと発表した。今は参加ブランドのISPA、SHISEIDOなどが実店舗を削減しており、これにより第3四半期は中国の店舗側収益が20%減った。
資生堂は中国で、チャネルの変動やブランドの色あせ、営業の立ち遅れなどにより苦境に陥っているが、それでも退路は残していない。先ごろの中国国際輸入博覧会では、「進出から40年あまり、中国投資への自信や決意が揺らいだことはない」と表明している。
(中国経済新聞)