日中関係に一足早い春が訪れるか

2024/11/27 07:30

11月16日午前、ペルーでAPEC首脳会議に出席した中国の習近平国家主席と石破茂首相が初めての会談をした。石破首相は10月10日にラオスで李強総理と会談してからわずか一か月で、中国の最高指導者である習近平主席との会談となった。中日両国の首脳が短期間で会談を重ねたのはここ10年余りでは見られなかったことで、両国関係が改善していることが示された上、関係を早期に改善したいという両首脳の強い意向や、中国政府の石破首相に対する期待感も表されている。

 今回の首脳会談で明らかになった情報として、習主席は石破首相に対し、①日本人入国時のビザ免除措置を近々再開する、②日本の水産物の輸入規制を早期に解除する、という二つの贈り物を約束した。一方、石破首相は習主席に対し、台湾問題で「1972年の日中共同声明を守るという立場は少しも変わらない」との姿勢、経済協力問題で中国と「デカップリング」するつもりはない、という贈り物を差し出した。

 今回の会談はすなわち、近年の中日首脳会談の中ではとりわけ成果のあるものだったと言える。

 中国が、わずか一か月間で習主席と李強総理が相次ぎ就任直後の石破首相と会談に踏み切ったのはなぜか。

 まず大きな要因として、米中関係の変化が挙げられる。

 アメリカは2025年1月にトランプ氏が大統領に復帰するが、中国政府としてはハリス氏に比べれば望んでいた相手となる。前回の政権でトランプ氏の政治理念やスタイルが十分にわかり、手腕も分かっている。新政権となっても米中関係が根本的に改善することはまずありえず、逆に「アメリカ・ファースト」をもってハイテク分野や軍事面における中国への締め付けや対抗が一段と強まるであろうことも十分承知である。さらには中国の輸入商品に60%の追加関税を導入することも排除できない。

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