舞踊詩劇の「只此青緑」、垣根を越えて映画化

2024/10/4 14:30

2021年8月に国家大劇院で初上演されてから600回近いステージを重ね、今でも超人気を維持している舞踊詩劇の「只此青緑」が、上演から満3年を経て映画化された。周莉亜氏と韓真氏が監督を務め、チャン・ハン、モン・チンヤン、シエ・スーハオがメインキャストで、限定版で先行上映され、会場はいずれも超満員となっている。

映画版の「只此青緑」は、北宋時代の画家・希孟(チャン・ハン演)と職人が協力しながらイメージ上の人物「青緑」(モン・チンヤン演)を生み出して「千里江山図」を描き上げるまでを、ストーリーをそのままにして印章、唱絲、聴雨、磨石、習筆、淬墨、青緑、入画などの各節を通じ、読書家(シエ・スーハオ演)の視点で解説するものである。

スタッフ陣は劇場版と全く同じであり、セリフはまったくなく音楽と歌唱のみで描かれる。ただしレイアウト、特撮、字幕、編集が施されて、劇場版と対比した上での評価は賛否両論である。「サプライズ」という人もいれば「がっかり」した人もいる。

映画版を高く評価した人は、「舞台劇の構想や展開、踊りや身なりなどを再現しつつ豊かな映像や音声を通じて中国式の美学を念入りに表現しており、ほぼすべての場面が絵になる」と見ている。クローズアップなど接近映像で役者の細やかな演技や感情が拡大されて、たちまち共感を呼べるという。劇場版とうまくコントラストを描いた上に、見えなかったありのままの姿も見せてくれるとのことである。

一方で、「駄作」と評した人は大部分が劇場版を見た「原作派」である。レイアウトと特撮が今一つである上、踊りが編集でバラバラになり、字幕によって想像の域が狭まったという意見も出ている。

これについて、監督を務めた周氏と韓氏は上映会で、「映画とはまさに残念な芸術だ」と述べている。すべての踊り手を表現しすべてのシーンを残すことは不可能、とのことである。

(中国経済新聞)