2025年8月、中国国務院は上海と杭州を結ぶ新たな高速鉄道「滬杭高鉄」の実現可能性調査報告書を承認した。総投資額は約670億元(約1.3兆円)で、路線全長は約223.8キロメートル、設計最高速度は時速350キロメートルに達する。建設は年内着工予定で、工期は4年間、2029年の開通を目指す。
滬杭高鉄は、中国の高速鉄道網「八縦八横」の主要ルートである沿海通道の重要部分であり、滬昆通道の東部を補完する補助ルートだ。この路線は、上海、嘉興などの地域と長江経済帯南翼の都市、海西都市群、粤港澳大湾区を結ぶネットワークの旅客需要を担う。また、長三角都市圏の城際鉄道網における滬杭ルートの基幹区間として、上海浦東、特に臨港新区と嘉興、杭州間の城際旅客輸送を支える。さらには、滬杭ルートの総合交通システムの近代化を推進し、鉄道が総合交通網の中核的役割を果たす重要な路線となる。

滬杭高鉄は上海市南部と浙江省北部を結び、杭州湾の北岸に沿って東西に走る。路線は四団駅を起点とし、嘉興地区の嘉興南駅で通甬高鉄と接続、計画中の滬杭城際鉄道を経由し、桐郷駅で杭州ハブ空港高鉄と接続、終点は杭州西駅だ。正線全長は197.447キロメートルで、上海市内54.240キロメートル、浙江省内143.207キロメートルとなる。全線には9つの駅が設置され、新設駅は奉賢、上海金山、平湖市、臨平北の4駅、改築・拡張駅は四団、嘉興南、桐郷、杭州西の4駅、既存の上海東駅を活用する。
この高鉄の建設は、長三角地域の経済統合をさらに加速させるだろう。特に、臨港新区のような新興エリアと杭州などの主要都市を結ぶことで、ビジネスや観光の流動性が向上する。高速鉄道の開通により、移動時間が大幅に短縮され、地域間の経済・文化交流が活性化する。また、既存の滬杭ルートにおける輸送圧力の軽減も期待され、旅客サービスの質向上にも寄与する。
滬杭高鉄は、中国の高速鉄道網のさらなる拡充を示す象徴的なプロジェクトだ。2029年の開通後、長三角地域の交通ネットワークはより効率的で強靭なものとなり、地域経済の発展に大きく貢献する。
(中国経済新聞)