破産申請のGAC FCA、長沙工場が3度目の売却失敗 140億円値下げるも引き取り手なし

2024/09/21 07:30

破産申請をしている中国自動車メーカーの広汽菲克(GAC FCA)は、湖南省長沙の工場と広東省広州の工場の売却を試み、後者はすぐに広汽埃安(AION)に買収されたが前者はなかなか「引き取り手」が現れないでいる。

長沙の工場は、今年7月20日には初値およそ19.15億元(約387億円)で、8月5日には同じく15.32億元(約309億円)で売り出されたが、結局どこも手を上げずに売れ残り、今回は初値を初回より7億元(約141億円)近く引き下げて約12.25億元(約247億円)で臨んだが、結局9月18日にまたも失敗に終わってしまった。

GAC FCAは、2010年に国有自動車大手の広州汽車集団と海外自動車大手のStellantisが出資割合50∶50で設立した会社で、2015年から傘下ブランドのJeepを中国で生産するようになり、その後Jeepチェロキー、レネゲード、コンパス、グランドコマンダーなどを打ち出して、コンパクト型などスモール系やミドルサイズSUVといったラインナップを整えた。しかし販売台数は2017年の22.23万台をピークに2018年以降は減少し、2021年は2.01万台まで落ち込んだ。

売上不振により負債比率も増大してった。広汽集団は以前に、GAC FCAが営業を完全に停止したと発表していた。2022年9月30日の時点で、(監査前)資産総額は73.22億元(約1479億円)で負債総額は81.13億元(約1639億円)、負債比率は110.8%に達した。その前の2022年7月にStellantisが、「合弁企業(GAC FCA)を廃止し、中国でJeepの輸入車を販売する方向で広汽集団と話し合う」と発表している。そしてGAC FCAは同年10月に、手持ち資産での債務の完済が不可能となった上に営業をほぼ停止したことから、裁判所へ破産申請をし、正式な手続きを始めた。

GAC FCAは長沙と広州に工場を設けたが、広州の工場については2021年9月、Stelantisが「稼働率不振のためを閉鎖する」と発表し、その後にAIONが買収してEV車種を生産している。しかし長沙の方は今回またも売却に失敗した。これについて、中国自動車流通協会の専門家委員である顔景輝氏は、「長沙工場はガソリン車の生産ラインが多く、新エネ車への転換を進めている今、既存の設備ではスマート化や電動化を求めている各メーカーのニーズを満たしづらい。どの会社も購入とランニングコストをまとめて考えている」と見ている。

(中国経済新聞)