OpenAIが中国に禁止令発表、バイドゥやアリババが反応

2024/06/26 18:55

OpenAIは中国に対し、大規模言語モデル(LLM)により起業した会社の業務発展を望んでいるとして利用制限をかける。これに対し、バイドゥ、アリババなどの国内のLLMが急ぎシェアを奪取すべく、『乗り換えサービス』を始めている。

OpenAI、「追加措置を講じる」と表明

火曜日 (6月25日)の深夜、中国など各国や地域のAPI開発者がSNSで、OpenAIの「警告メール」を受信したと相次ぎ発表した。「データによると、OpenAIが現在サポートしていない地域からのAPIトラフィックがある。7月9日より、これらサポート外の国や地域でのAPIの利用中止という追加措置を講じる」との内容である。

この中でOpenAIは、APIサポート対象の国・地域が掲載されたホームページのリンクを貼り付けた上、「引き続き利用する場合はサポートしている地域からアクセスすること」と表明している。

OpenAIの公式発表を見ると、APIは現在190近い国・地域で利用可能であるほか、「これらの国・地域以外からのアクセスまたはその利用をするアクセス権限はアカウントを廃止または閉鎖することになる」と書かれている。

これに対してネットでは、「見境のない封じ込めやアクセス制限だ」と非難する声が相次いでいるうえ、「ルール違反はしていない」とのコメントが出ている。

中国人はOpenAIを使えなくなるとの見方が広まっていることから、AI市場は揺れ動いている。

業界内では、中国はこれに対応すべくOpenAIのLLMを生かした起業を目指すと見ている。中国では、OpenAIの先進技術を自社品に「パッケージ」する形でのビジネス化を狙って、OpenAIをベースにしたアプリが大量に出現しているが、このようなやり方は今後行き詰まるものと見ている。核心となる技術や競争力もなく、なおかつ代替策もすぐに見いだせない状態では、市場から取り残される危険性が高まる。

一方で中国では、クラウドサービスのプラットフォームが「乗り換えサービス」を提供するなど、一部のLLM会社が新たな成長の場を見出している。

AI会社として初めて無料での切り替えを打ち出した百度智能雲(バイドゥAIクラウド)は、自社のプラットフォーム「千帆」がコストゼロ0で国内利用量トップのLLMプラットフォームに切り替え可能という普及策を打ち出している。

計画によると、バイドゥは新たにログインした企業に対し即日で様々な無料サービスを施す。「文心」の初回利用無料、代表的モデルの「ERNIE3.5」による5000万Tokensの付与、主力モデル「ERNIE Speed/ERNIE Lite」や軽量モデル「ERNIE Tiny」の無料継続のほか、OpenAIからの乗り換えユーザーに対してのほぼ同等規模の「ERNIE3.5」、「Tokens」パッケージの付与などである。また0元トレーニング、0元乗り換え、0元サービスなどもある。つまり、LLMの開発から利用までトータル的にカバーするものである。

アリババクラウドもまた即座に、OpenAI のAPIユーザー向けにコスパの高いLLM代替ソリューションを提供するほか、中国の開発者に対し2200万tokensや乗り換え特別サービスを付与すると発表している。

さらには、知名度の低いプラットフォームも「乗り換え計画」を始めている。智譜bigmodel.cnはOpenAI APIユーザーに対し、中国LLMへの切り替えを支援するサービスを打ち出した。

智譜は、開発者に対し1.5億Token(5000万GLM-4+1億GLM-4-Air)の付与、およびOpenAIからGLMまでの一連の乗り換えトレーニングを実施すると発表している。またヘビーユーザーに対してはOpenAIと同じ規模のToken贈呈(上限なし)や、規模やレベルがほぼ同じとなる会員のプランなどを発表している。

業界内では、ここ数日でLLMの「乗り換えサービス」実施のプラットフォームが相当数にのぼると見ている。今回のOpen AIの中国に対する禁止令で中国のLLMを導入する動きが広まって、中国で開発の足取りが一段と進むことになると市場関係者は見ている。

(中国経済新聞)