先ごろ中国で行われた第4回国際消費財博覧会で、すでに人気の輸入品となっているウイスキーについて、「ペルノ・リカール」(Pernod Ricard)や「エドリントン」(Edrington)など海外のスピリッツブランドが出展するなど、随分と注目が寄せられた。ペルノ・リカールは四川省峨眉山の叠川工場で生産されたものを特別展示したほか、主賓国であるアイルランドは20種類以上のブランドを並べた。
ただし、2024年に入って輸入の数量、金額ともにかなり落ち込んでいる。中国税関によると、1-2月の輸入は数量が43.7%減、金額も22.4%減で、どうやら業界はピークを過ぎ、バブルがはじけてしまったようである。
中国ではウイスキーはここ数年人気が高まる一方で、アイルランドからの輸入額は2018~2023年で7倍以上となった。しかし2023年後半から陰りが見え始め、春節期間中は贈答品などが増えたことから価格や売上が幾分回復したが、限定的なものであった。
価格を見ると、日本産の高級品などこれまで高値が続いていた人気の品が2023年に随分と値下がりし、30%以上も下落したものもある。また日本品については、2023年は原発処理水放出の影響もあって輸入量が62%減った。
ただし、海外の大手スピリッツメーカーは、ウイスキーの見通しについてさほどの懸念感を抱いていない。ペルノ・リカールの中国法人CEOであるJerome Cottin-Bizonne氏は、輸入の減少はこれまでの急激な伸びが一時的に止まったものと見ており、チャネルの在庫量が多すぎて消化に時間がかかるとのことである。
中国国内のウイスキー業界も新たな試練を迎えている。中国酒業協会ウイスキー専門委員会の「2023中国ウイスキー業界発展報告」によると、2023年、法人資格のあるウイスキー会社は42社に達し、うち稼働済みが26社であるが、いずれもまだ生産間もない状態である。ウイスキーは年代がものを言うので、投資を回収するまでに年月がかかり、先行きについてはまだ不透明である。また中国ではウイスキーは、需要は増え続けているがアルコール類の中ではマイナー品に属する。
(中国経済新聞)