中国春節枠でアニメ映画「熊出没:逆転時空」が興収380億円

2024/03/7 13:00

有力作品がひしめいた今年の春節枠映画で、「熊出没:逆転時空」(Boonie Bears:Time Twist)が入場率や平均観客数が枠内トップとなり、アニメ作品として歴代2位となる18.40億元(約380億円)の興行収入を記録した。春節の常連作品となっている「熊出没」シリーズは、過去にも好成績をマークしており、2022年2月上映の「熊出没:バック・トゥ・アース」は興収が9.77億元(約201.7億円)、2023年1月上映の「熊出没:伴我熊芯」( Boonie Bears:Guardian Code)は14.95億元(約308.7億円)であった。中国アニメ映画の興収歴代ベスト10のうちこのシリーズ作品が3作あり、合計額は75億元(約1548.4億円)以上となっている。

売上の上昇とともに評判もうなぎのぼりとなった「熊出没」シリーズは、もはや押しも押されぬアニメ界のトップIPである。2014年以降はほぼ毎年、正月または春節に新作が発表され、子供を対象としたファミリー向け映画として確固たる地位を築き上げている。

今年大ヒットした「逆転時空」は、主人公であるスキンヘッドが大都市で懸命に金を稼ぎ、家や車を買い、よろよろと成長したが、最後には森に帰り、一番大事なのは友情なのだということを知る、というストーリーである。周りの目などは気にせずに心から欲しいものを追い求めるべきだ、ということを訴えており、若者たちの暮らしの価値への回帰にスポットを当て、最近のトレンドにマッチした作品である。

「熊出没」シリーズはどれも、ストーリーの軸とシチュエーションがトレンドに沿い、話題のテクノロジーを盛り込んでいる。2023年1月上映の「伴我熊芯」では、肉親探しというお決まりの物語を大枠としながら、「熊の母親」をAIロボットが演じており、現実的な感情を捉えて母子の関係を表現するとともに、人とAIの関係も探っている。また、シリーズ作品はすべて社会の成長を振り返り、憧れを込めている。2022年1月上映の「バック・トゥ・アース」は、中国が宇宙開発事業で続々と成果を収め、「天問一号」、「祝融」による火星探査から、衛星「羲和」による太陽探査時代の幕開けといった時期に、創作アイデアが生まれている。航空宇宙と強く関係づけた内容とし、これを見た子供たちが宇宙や科学に興味を持ってもらいたい、という願いがこもっている。

(中国経済新聞)