中国の中央銀行である中国人民銀行は、「銀行以外の決済機関の重要事項変更許可」として、支付宝(中国)網絡技術(アリペイ)が経営権のない存在となることに同意すると発表した。
アリペイは、IT大手のアリババグループ傘下のフィンテック大手であるアント・グループの全額出資子会社である。
今回の動きは、アント・グループにおける今年初めの議決権の移動に端を発したもので、今後は株主の単独または共同でのアント・グループ支配という体制を廃止する。
アント・グループはこれまで、ジャック・マー氏が実質的支配者だったが、今後は「杭州君瀚」や「杭州君澳」などの主要株主がそれぞれ独自に所有するアント・グループの株式の議決権を行使し、別々の行動をとることになる。各株主がアント・グループの株主総会を単独または共同で統制したり、株主が指名した取締役の人数が全取締役の半数を超えたりすることもない。よって、株主の単独または共同での直接・間接によるアント・グループ支配という形が廃止される。
これによりアリペイも影響を受けるほか、アント・グループの傘下にある「恒生電子」や「国泰産険」も同じく実質的支配者でなくなる。
民間の決済会社であるアリペイは常に中央銀行の監視下に置かれ、上場会社である恒生電子と保険会社である国泰産険も情報の開示が求められる。よって、関係各社はアントの主要株主の議決権移動後に改めて公告を出す必要がある。つまり、アントの変更案件はすでに順調に進んでいることになる。
(中国経済新聞)