春の訪れとともに花見シーズンが本格化する中、中国各地では鉄道や航空を活用した「春の花見旅行」が活況を呈している。列車や飛行機を利用して気軽に花の名所を巡るスタイルが広がり、観光需要の拡大につながっている。
3月21日、中国鉄路西安局集団有限公司は、2026年最初となる春季観光専用列車(Y542/1便)を運行し、西安駅から丹鳳駅へ向けて出発した。約500人の観光客を乗せた列車は、到着後にシャトルバスへスムーズに乗り換えられる仕組みとなっており、桃花谷や丹鳳ワイナリー、棣花古鎮といった主要観光地を効率よく巡る「ワンストップ型」の花見ツアーを実現している。

気温の上昇に伴い、鉄道各社は花見需要に対応するため観光列車の運行を相次いで強化しており、「列車で花見に出かける」という新たな旅行スタイルが広がりつつある。
地域ごとに見ると、サービスの差別化も進んでいる。四川省では、中国鉄路成都局集団有限公司が「都市と農村を組み合わせた観光モデル」を打ち出し、青城山や崇州、大邑といった郊外の花見スポットへ向かう路線で列車を増発。都市部からのアクセス向上により、週末の家族旅行の需要を取り込んでいる。
また中部・東部地域では広域移動の需要も高まっており、中国鉄路南昌局集団有限公司は2月以降、南昌や福州、厦門から武夷山や婺源方面へ向かう「花見向け高速鉄道」を30本以上増発した。
さらに鉄道各社は輸送力の強化にとどまらず、観光との連携も進めている。雲南省では、中国鉄路昆明局集団有限公司が夜行寝台列車を活用した「夜間移動・昼間観光」型の専用列車を運行し、移動と観光を一体化したサービスを提供している。中国鉄路北京局集団有限公司は、安徽省・湖南省・貴州省・湖北省をまたぐ広域観光ルートを設定し、複数の国家級観光地を巡るツアーを展開している。

一方、航空業界も春の観光需要の高まりに対応している。中国東方航空は航空券とホテルを組み合わせたパッケージ商品を販売し、春秋航空は季節限定のフリーパス型商品を展開。中国南方航空も花見旅行向け商品を投入し、2月末の発売以降、すでに4万2000人以上が利用している。
価格面でも変化が見られる。旅行サイトのデータによると、3月以降、主要な花見路線の航空券価格は大きく下落し、一部では3~7割の値下げとなった。例えば、北京から杭州や無錫、武漢への片道運賃は最安で約300元(約6300円)となり、上海から西双版納への便も大幅に値下がりしている。「飛行機で花見に行く」というスタイルも、より身近な選択肢となりつつある。
こうした動きについて、北京第二外国語学院観光学部の呂寧院長は、「鉄道や航空が単なる移動手段にとどまらず、観光体験の一部として機能し始めている。交通と観光の融合が進むことで、『春の観光需要』を支える重要な原動力となっている」と指摘している。
(中国経済新聞)
