深圳の民営企業相次ぐ倒産、永生電器が突然解散へ

2025/09/13 07:30

中国の経済大都市・深圳で、民営企業の倒産が相次いでいる。13年以上の歴史を持つ家電メーカー「永生電器」が8月29日の株主投票で解散を決定し、9月4日に正式発表した。このニュースは、中小家電業界の激しい洗牌を象徴するものとして、業界内外に衝撃を与えている。経済下行期の影響で、深圳の民営経済が深刻な苦境に陥っている実態が浮き彫りになった。

永生電器は、跨境電商(越境EC)分野で知られる企業で、創業以来、電子スイッチやランプホルダーから始まり、キッチン家電、照明機器、自動車部品へと製品ラインを拡大してきた。同社は自社輸出だけでなく、他社ブランドのOEM(委託生産)も手がけ、欧米、日韓、中東市場に製品を供給。ピーク時には従業員600人を超える規模を誇った。しかし、最近の市場環境の変化に耐えきれず、経営陣は「心身ともに疲弊した」として解散を決断。既存資産を債務返済に充て、清算チームを設置する予定だ。

発表からわずか数日前の8月29日まで、従業員は通常業務を続けていたが、突然の通知で失業の危機に直面した。この急展開は、従業員や取引先の間に大きな動揺を呼んでいる。永生電器の解散は、個別の事例ではなく、国内の老舗企業が次々と破産手続きに入るトレンドを反映している。例えば、8月末には仏山市順徳区の「奥創電器有限公司」も「深刻な債務超過で正常運営が困難」との理由で解散を発表。当日から操業を停止し、全従業員との労働契約を解除した。同社は十数年の歴史を持ち、ピーク時には1200人以上の従業員を抱えていたが、惜しまれつつ幕を閉じた。公告では「大変遺憾であり、皆さんの長年の貢献に心より感謝する」との言葉が記され、経営者の無念さがにじむ。

これらの事例は、跨境電商業界の厳しさを物語る。競争の激化、新ブランドの台頭、技術革新のスピードアップにより、老舗企業が市場から脱落するケースが増えている。深圳では、生産側だけでなく、物流チェーンのフォワーダー企業も危機に陥り、解散事件が頻発。2025年に入り、経済の深刻な下行が民営企業全体に影を落としている。関連報道によると、深圳では今年だけで複数の大規模工場が倒産しており、例えば38年史を持つ「新安電器(深圳)有限公司」が8月に解散を決定。高峰期には10万人規模の従業員を擁し、フィリップスなどの有名ブランドのOEMを担っていたが、資金繰りの悪化で操業終了を余儀なくされた。また、30年以上の歴史を持つ「達琦華声電子(深圳)有限公司」も1月に停業を発表、1万人規模の従業員を解雇した。

さらに、跨境電商特化の企業も打撃を受けている。2025年6月には「深圳深塩跨境電商運營センター有限公司」が破産清算手続きに入り、裁判所が管理人を指定。

これらの事例は、グローバル経済の低迷、貿易摩擦の高まり、国内コストの上昇(人件費、家賃など)が重なり、深圳の民営企業を追い詰めていることを示す。業界アナリストは、「疫情後の回復が遅れ、欧米市場の需要減退が直撃した。技術革新に追いつけない老舗が特に脆弱」と指摘する。

一方で、深圳の跨境電商全体は依然として活況を呈しており、2025年の行動方案では、輸出額を1兆元超に引き上げる目標が掲げられている。

しかし、こうした大規模倒産は、業界の二極化を加速させる可能性が高い。政府は金融支援や構造改革を推進しているが、現場の声として「即効性のある対策が必要」との意見が強い。

(中国経済新聞)