京東が香港の佳宝超市を買収、香港の実店舗小売業に進出

2025/08/17 07:30

京東(JD.com)は海外市場での展開を加速し、香港の小売業においてオンラインの電子商取引からオフラインの実店舗へと拡大を進める。8月15日、京東は香港の地元スーパーマーケットチェーンである佳宝食品超市の買収を正式に完了したと発表した。佳宝は京東の強力なサプライチェーンを活用し、オムニチャネル事業の拡大を進め、京東の粤港澳大湾区における生鮮食品サプライチェーンの構築を強化する。
7月下旬、香港メディア『香港01』は情報筋の話として、京東が約40億香港ドルで佳宝の小売ネットワークおよび約20~30店舗の所有権を取得したと報じた。この取引では、佳宝の創業者である林暁毅氏が3年間の移行期間中に同事業部門の責任者を務める。取引価格について、京東側はコメントを控える。
佳宝は1991年に設立された香港の老舗スーパーマーケットチェーンで、90以上の店舗と1000人以上の従業員を擁する。冷凍肉類や海産物、穀物、油、雑貨、新鮮な野菜や果物など幅広い商品を取り扱い、「高品質かつ低価格」を特徴とする。公式ウェブサイトによると、91店舗のうち新界に41店舗、九龍に32店舗、香港島に18店舗を展開し、これらの店舗は主に住宅地に位置し、安定した顧客基盤を背景に、京東の香港実店舗小売市場進出の重要な足がかりとなる。
京東の関連事業責任者は、今回の佳宝買収が京東のサプライチェーン戦略強化における重要な一歩であると強調した。この買収により、京東は香港の実店舗小売市場に正式に参入し、佳宝のオフライン店舗ネットワークを全面的に統合し、香港小売市場の商品の多様性と価格競争力をさらに高める。2024年9月以降、京東は香港市場への投資を強化し、商品価格の補助金、物流支援、サービス向上などに15億元を投入した。今年3月には、香港の消費者向けに自社運営の家電製品に対して「30日以内返品可能」「180日以内故障交換」「1品から送料無料」などのサービスを導入した。
香港全体の小売売上高は低迷し、2024年2月から2025年4月まで14ヶ月連続で減少したが、佳宝が属する「スーパーマーケット」カテゴリーの売上は比較的安定する。6月のスーパーマーケット売上は約41.65億香港ドルで、前年比0.4%の微増を記録した。京東は佳宝の買収に加え、傘下の啓承資本を通じて出資するコミュニティ型生鮮スーパー「銭大媽」を通じて、2018年から香港で店舗網を拡大し、現在は全香港で67店舗を展開する。
今回の買収は、京東が香港市場でのオンラインとオフラインの融合を加速し、地域の消費者により多様なショッピング体験と競争力のある価格を提供する戦略の一環である。京東のサプライチェーンと佳宝の地域密着型店舗網のシナジーにより、香港の小売市場に新たな価値が生まれると期待される。

(中国経済新聞)