中国船舶工業集団有限公司(CSSC)傘下の上場企業である中国船舶(600150.SH)と中国重工(601989.SH)が、吸収合併を発表した。中国重工は8月4日、会社公告で、中国船舶による吸収合併により独立法人資格を失い、注銷されると明らかにした。これに伴い、中国重工は上海証券取引所に対し上場廃止を申請する可能性があり、株式は2025年8月13日開市から連続停牌となり、8月12日がA株の最終取引日となる。
この合併は、2025年5月に改正された『上市公司重大資産重组管理弁法』施行後、初の審査登録承認を受けた上場企業吸収合併案件であり、A株市場史上最大規模の吸収合併取引となる。中国船舶が中国重工の全株主に対しA株を発行して株式交換を行い、中国船舶が存続会社となる。中国証券監督管理委員会(CSRC)は7月18日にこの取引を承認した。
両社は2024年9月に合併計画を初公開し、2025年1月に国務院国有資産監督管理委員会(SASAC)の原則同意を得た。中国船舶は吸収側、中国重工は被吸収側で、中信証券の独立財務顧問報告書によると、合併後、中国船舶は中国最大の船舶製造企業となる見込みだ。合併は両社の研究開発、生产資源、供給チェーンを統合し、同業競争を減らし、主業の協調を強化することを目的としている。
異議株主の権利行使については、中国船舶は8月13日から停牌し、異議株主の現金選択権申告結果公告後に復牌する。一方、中国重工は停牌が継続し、上場廃止まで復牌しない。中国誠通控股集団が異議株主の株式を引き受ける役割を担う。
両社は7月に上半期業績予告を発表し、合計で純利益43億元から49億元(約850億円から970億円)、前年比121%から152%増を見込んでいる。
この取引は、中国船舶工業分野の「国家チーム」統合として注目されており、国家戦略的新興産業「深海科技」の推進、中央財政委員会の「海洋経済」高品質発展戦略の実行、軍工・海洋工学・高端製造などの戦略産業の集中化を体現するものだ。合併により、世界最大の上場船舶企業が誕生し、グローバル競争力が強化される見通しだ。
市場関係者は、合併が船舶業界の再編を加速し、国有企業改革のモデルケースになると分析している。今後、両社の統合効果が業績にどう反映されるかが焦点となる。
(中国経済新聞)