中国の実力派女優・朱媛媛さん、がんにより逝去 享年51歳

2025/05/22 18:30

中国の著名な女優、朱媛媛(チュ・ユエンユエン)さんが2025年5月17日午前11時39分、がんのため亡くなった。享年51歳だった。訃報が公になったのは5月21日で、ネット上や中国の芸能界に大きな衝撃を与えた。

朱媛媛さんのがんとの闘病は、実に5年近くに及んだ。しかし、その事実を公表することはなく、親しい友人や共演者にさえも伏せていたという。中国国家話劇院の田沁鑫(デン・チンシン)院長は、「最後に電話で話したのは香港にいた時だった。彼女はとても弱っていて、激しく咳き込んでいた。胸が痛んだ」と語った。

朱媛媛さんは1973年、山東省青島市に生まれ、1997年に中央戯劇学院の演技科を卒業。中国国家話劇院の一級俳優として活躍していた。1995年にドラマ『一地鸡毛』でデビューし、1998年には『貧嘴張大民的幸福生活』の演技で「北京春燕賞」優秀主演女優賞および「中国テレビ金鷹賞」観客人気女優賞を受賞し、一躍脚光を浴びた。

その後も、『浪漫的事』(2004年)で飛天賞・金鷹賞にノミネートされ、『家有九鳳』(2006年)では再び金鷹賞を受賞。2007年には映画『天狗』で華表賞および金鶏賞の最優秀女優賞にノミネートされるなど、実力と演技力を高く評価されてきた。

舞台でも才能を発揮し、2005年には『紅塵』、2013年には『大宅門』で一人三役を演じ、観客を魅了した。2021年に公開された映画『我的姐姐(私の姉)』では、第34回中国映画金鶏賞と第36回百花賞で最優秀助演女優賞を受賞するなど、近年も高い評価を受けていた。

晩年の朱媛媛さんは病と闘いながらも、決して表に出さず、女優という職業に真摯に向き合っていた。ネット上では「本当に強く、そして静かな人だった」「微笑みを絶やさず、痛みを一人で抱えていた真の女優だった」といった追悼の声が広がっている。

朱媛媛さんの早すぎる死は、中国芸能界にとって大きな損失であり、多くの人々の心に深い悲しみを残している。