中国福建省福州市で、25歳の女性が自身の2人の実子を売り飛ばし、その金銭をゲーム配信者への投げ銭や衣服購入に費やしていた事件が発覚し、大きな波紋を呼んでいる。7月4日、中国中央テレビ(CCTV-12)の報道によると、容疑者の黄某某(1999年生まれ)は詐欺容疑で逮捕された後、さらなる調査で実子売り飛ばしの事実が判明した。
黄某某は广西壮族自治区出身で、小学校レベルの教育しか受けておらず、数年前に福州に移住。定職に就かず、雑務で生計を立てていた。詐欺容疑で警察に通報された際、彼女の携帯電話のチャット記録から児童売買に関する情報が発見された。警察の捜査により、黄某某が2人の実子を仲介業者を通じて売り飛ばしていたことが確認された。
黄某某は自身が養子として育ち、親からの教育が不足していたため、10代から放浪生活を送っていたとされる。彼女は「遊びに出かけた際、他人との性行為で予期せず妊娠した。金がなく中絶できなかったので出産したが、子供を育てる能力がなく、父親が誰かもわからない」と供述。経済的困窮から、仲介業者を通じて実子を売り飛ばしたと説明した。
報道によると、黄某某は2人目の実子を3万8千元(約76万円)で仲介業者に売り飛ばし。仲介業者はその子を10万3千元(約206万円)で転売し、大きな利益を得ていた。黄某某は得た金を衣服購入やゲーム配信者への投げ銭など、個人的な浪費に使用した。1人目の実子も同様に4万5千元(約90万円)で売り飛ばされており、合計2人の実子が金銭と引き換えに手放された。
警察の迅速な対応により、売り飛ばされた2人の子供は無事に保護され、現在は福祉施設に安置されている。黄某某は詐欺罪および児童売買罪で起訴され、懲役5年2カ月と3万元(約60万円)の罰金を言い渡された。また、彼女の保護者資格も剥奪された。
さらに、子供を買った2人も児童買収罪で有罪判決を受けた。1人は懲役9カ月(執行猶予1年)、もう1人は懲役7カ月の実刑が科された。
この事件は、中国社会における貧困、家庭環境、教育格差といった構造的問題を浮き彫りにした。黄某某のような若者が、十分な支援や教育を受けられず、経済的困窮から犯罪に走るケースは少なくない。児童売買は中国で依然として深刻な問題であり、当局は仲介業者の取り締まりや福祉制度の強化を進めている。
(中国経済新聞)