中国家電大手の美的、香港で上場

2024/09/18 18:30

中国の家電大手「美的集団」は、中秋節の9月17日に香港で上場を果たした。証券コードは「00300.HK」である。取引開始となる北京時間午前9時8分現在の株価は60香港ドル/株(約1082円/株で、発行価額の54.8香港ドル/株(約988円/株)を9.49%上回っている。この上場で改めてクローバル化へと歩を進めていく。

美的は今年上半期、海外での売上割合は40.88%であるが、北米、ヨーロッパなど先進国での販売チャネルを一段と格上げしていく必要がある。同社の幹部は今年の株主総会で、「世界の家電の市場規模が4000億ドル(約56.2兆円)近くに達している中、美的のシェアは5%以下だ」と述べていた。

美的は今回の香港上場に際し、発行株数は5.66億株で計306.68億香港ドル(約5531億円)を調達している。この用途として、世界での研究開発に20%、スマート製造体系およびサプライチェーンの格上げに35%、世界での販売チャネルや流通ネットワークの整備及び自社ブランドの海外販売拡大に同じく35%、経営資金および一般用途として10%を割り当てる。

研究開発への投入額はスマート家具やToB事業を対象に約51.94億香港ドル(約937億円)と発表されており、今後1年~3年で世界的に1000-1500人を集めた上、開発センターを一段と拡大していく予定という。

美的はまた、海外での生産拡大にも同じく約51.94億香港ドルを投入する。2024年は、インドでキッチン家電、インドネシアで家庭用エアコン、ブラジルで冷蔵庫と洗濯機、イタリアでヒートポンプの工場をそれぞれ稼働させ、2025年にはインドネシアで冷蔵庫と洗濯機の工場を、タイで冷蔵庫の工場と業務用エアコンの工場をそれぞれ稼働、2026年にはエジプトで洗濯機の工場を稼働させる予定である。

また美的は、海外で自社のブランドと商品の結び付けに同じく約51.94億香港ドルをつぎ込む。このうちSNSでのプロモーションやマーケティングに約20.78億香港ドル(約375億円)を、自社のスマート家電やビジネス、産業のソリューションと関わりのある企業(あれば)への投資または買収に約31.17億香港ドル(約562億円)を費やす。フロスト&サリバンのレポートによると、2023年は美的の対象となりそうな企業が世界で500社以上存在していたという。

なお美的は今年4月30日以降に、スイスの上場会社「Arbonia AG」のエアコンユニットの生産や販売を手掛けるClimate事業を6.488億ユーロ(約1016億円)で買収し、さらに家電や水槽の設計、製造を手掛けるドイツの「Teka Group」を1.75億ユーロ(約274億円)で買収している。