復旦大学、学部生・院生向けにAIコースを設置

2024/06/10 17:45

中国トップレベルの総合大学である復旦大学は、今年秋からの新学期で、学部生、大学院生を対象にAI(人工知能)のコースを開設し、2024-2025年の1年度で100以上のカリキュラムを実施するという。

復旦大学大学院の常務副院長である陳焱教授によると、AIコース設定にあたり、1年間努力した上で、来年秋の新学期にはAI教育について、カリキュラムの学部生・院生への浸透率、AI+教育の1級学科への浸透率、AI修養スキルの全学部への浸透率をすべて100%とすることを目標としている。

AGI(汎用人工知能)が普及するにつれて、企業も大学法人もAI人材を一段と重視するようになっている。復旦大学だけでなく、清華大学や上海交通大学などもここ数か月で相次ぎAI教育に関する専門の学部を設けている。

このような取り組みに対し、陳教授は復旦大学のAIコースについて「学部の設置ではなく大学全体に及ぶもので、科学的知能のイノベーション体系を築くことが主眼だ」と、違いを述べている。

そのAIコースを代表する教員の1人である、復旦大学大規模言語モデルMOSSの責任者で、コンピュータ科学技術学院の邱錫鵬教授によると、AIコースはイノベーション力の習得に向けて実際の問題の対応策を教えるものという。

邱教授はAIの人材について、「何らかのスキルを覚えたりツールを使ったりするものではなく、オープンなスキルを備えた者である。つまり、未知で決まった対応策がない場合にAI的思考により良さそうな解決策を見出せる、といったスキルである。こうした人材を育成するには、様々な次元からカリキュラムを用意する必要がある」と述べている。

大手コンサルティング会社のマッキンゼーが先ごろ発表したAIに関するレポートによると、中国では2030年、AI専門人材への需要が2022年の6倍となるという。中国は、2018年を皮切りに、これまでに一般の大学あわせて535校(うち重複2校)でAI専門の学部が設けられている。先ごろ発表された「2022全国統一大学入試検索ビッグデータ」によると、出願者数はAI学部が3年連続で最も多くなっている。特に2021年は、教育省による「新工科」の設立を受けて1年間で計130の大学がAI学部を新設している。

(中国経済新聞)