北京、上海、広州など30の省や市で外国人向けの決済利便性措置を実施

2024/06/10 07:30

中国は2024年第1四半期、外国人観光客が大幅に増え、さらに5月初旬の大型連休では海外旅行者の数に迫るのべ77.5万人が来訪した。こうした流れに対応するため、中国政府は買い物の決済を一段とスムーズにする措置を講じている。3月7日に国務院弁公庁は「決済サービスのさらなる改善による決済の利便性向上に関する意見」を発表し、決済の方法をスマホ決済、銀行カード、現金などを交えたものに改めることとした。これに各地方も応え、今は北京市、上海市、広州市など30の省や市で、それぞれ特色のある決済サービス実施エリアを設けるなどの取り組みを策定している。

上海では、アントグループやマスターカード(Mastercard)などが「インバウンド消費友好型商業圏の整備計画」を打ち出し、南京路やバンドなど20以上の商業街、外国人生活エリア、観光スポット、国際空港2か所と3つの主要駅で便利な決済を実施することになった。またタクシー業界も、外国人乗客向けの運賃スマホ決済可能対応車2.5万台について、新たな表示を設けている。

中国の大手旅行予約サイト「トリップドットコム」によると、2024年の外国人観光客の入国場所割合について、上海が最も多く38%が、2位は北京で13%、3位は広東省広州で10%となっている。4割近くの観光客のスタート地点となっている上海では、消費額や決済数も増えており、今年1-4月のバーコード決済による消費額は去年同期の14倍、決済数は13倍となっている。

政府の「意見」が発表された3月7日以降、北京市、上海市、広東省広州市や深セン市、遼寧省大連市、四川省成都市、陝西省、河南省、福建省など30以上の省や市で、「食事、宿泊、移動、観光、買い物、レジャー、医療」などで外国人向けに便利な決済サービスを実施する一連の策が打ち出されている。

入国してまず最初に決済をすべき場所となる空港について、上海市は現在、浦東と虹橋の両国際空港で外国人向けにワンストップの総合サービスセンター3か所と決済サービスエリアを設け、決済、通信、観光、交通といったトータルサービスを施している。

また福建省、湖南省、海南省、甘粛省、青海省、大連市、青島市なども空港でのモデル対応を行い、北京市は首都国際空港、大興国際空港をモデルエリアとしてクレジットカード対応や外貨の両替、問い合わせなどのサービス向上といった取り組みを続けている。

各地とも概して現地の事情に合った形で特色ある策を実施しており、国境や水際などでの決済が一段と便利になっている。

香港やマカオからの来訪者が多い広州市では、グレーターベイエリア全体で公共料金の支払い方法を増やし、生活スタイルを住民同士一体化してより暮らしやすい形づくりを進めている。

また福建省は、台湾の個人や企業を対象に、商業銀行の水際での口座開設やオンラインでの口座開設予約を受け付ける「福旅通カード」を実施している。台湾の企業や個人が集まるエリアに専門の優先窓口を設け、特色ある銀行カードを発行させることが狙いである。

(中国経済新聞)