中国の水素燃料電池車(FCV)の市場化のプロセスが加速している。
長安汽車は4月21日、深藍ブランド技術共有イベントを開き、同社傘下の新エネ車独立ブランド「長安深藍」の初の製品「C385」を正式に発表した。うち水素燃料電池版は中国で初めて量産化された水素燃料電池乗用車となる。3分の超急速充填を実現し、航続距離は700キロメートル以上にのぼる。
重慶長安新エネ自動車科技有限公司の鄧承浩CEOは同イベントで、長安が完全に独自の知的財産権を持ち、フォワード・デザインによる新型電気駆動専用プラットフォーム「EPA1」を発表した。ガソリン車の熱効率と同じく、新エネ車にも電気効率という概念がある。これは新エネ車動力システムの総合的な駆動効率を直接反映するものとなる。EPA1プラットフォームのシステム効率を高めるため長安新エネは電気駆動システム、航続距離延長システム、水素燃料システムという3つの次元から、大量の独創的なソリューションを打ち出した。
今回発表された水素燃料電池版は、水・ガス分離ボルタ電池設計を採用し、より小さな体積でより大きな出力を達成することにより、乗用車への搭載を実現した。作動状態モデルスマート感知アルゴリズム、新世代高活性プラチナ合金触媒グラデーション塗装を採用し、非常に高い発電効率と非常に長いボルタ電池の使用寿命を実現した。同システムの発電効率は水素ガス1キログラムで20.5kWhにのぼるとともに、3分の超急速充填が可能だ。総合CLTC基準の作動状態の航続距離は700キロメートル以上で、給電水素消費量は100キロメートル当たり0.65キログラム以下だ。
中国初の量産型水素電池車「長安深藍C385」
中国政府は4月23日、水素エネルギーの中長期発展計画を発表した。2025年に水素を使う燃料電池車(FCV)の保有台数で5万台を目標とし、バスや物流などで普及を進める。同計画は35年を最終年とする。
基本原則として、技術革新の推進、安全優先、市場主導と政府の誘導、モデル地区先行による安定した活用などを挙げた。25年に水素エネルギーの重要技術の掌握、中核部品などを含めたサプライチェーン(供給網)の初歩的な整備、FCV保有台数5万台を目標として掲げた。
30年には水素エネルギーの技術革新のシステムを構築し、秩序を保った活用を進め、脱炭素の目標に貢献する。35年には交通や蓄エネルギー、発電、工業分野で活用を進める。
習近平国家主席が掲げる「30年より前に二酸化炭素排出量をピークアウトさせ、60年までに実質ゼロにする」という目標達成に向け、水素を国家のエネルギーシステムの重要部分に位置づけた。