21世紀で最も偉大な発明の一つとも言われた電子書籍リーダー、後退ムードに

2022/10/1 08:30

中国で、9月26日ごろから、アプリ「QQ」の電子書籍用デバイスや端末の「口袋閲」(Pocket Reader)が利用できなくなったとの声が出始めた。これについてテンセントの関連会社であるオンライン文学業界大手の閲文集団は9月28日、自社製の書籍リーダーは2022年10月26日に運営を終了し、今後は新書の購入に対応しないと伝えた。

「紙同様に読めて目も傷めず、時間も長持ち」と言われた電子書籍リーダーは21世紀で最も偉大な発明の一つとも言われたが、後退ムードになった今、Kindleや口袋閲も撤退して、オンライン図書のあり方へ議論が再び始まっている。

艾媒咨詢(iiMedia)の創業者である張毅氏は、スマートフォンの普及やディスプレイの大型化、読書Appの改良により、書籍リーダーはもう売れなくなっているという。

2021年の第19回中国国民読書アンケートによると、成人の読書のスタイルについて「紙の本を読む」と答えた割合が45.6%、「携帯電話で読む」が30.5%で、「電子書籍リーダーで読む」はわずか8.4%、「耳で聞く」が7.4%となっている。またデジタル化メディアのうち、成人国民の1人当たり平均利用時間が最も長いのは携帯電話で、101.12分となっている。

張氏は、「業界はすでに冷めており、参入者も減って大手はほぼ撤退した」と述べた。このところ電子書籍リーダーはサービス終了が相次ぎ、特に今年はKindle、テンセントが撤退したことで行き詰まり状態になっている。ただし張氏は、電子媒体での読書はまだ需要があり、市場は依然として存続し産業規模も拡大すると見ている。

「2021年度中国デジタル読書報告」によると、2021年、中国の電子書籍の産業規模は18.23%伸びて415.7億元(8439億円)となり、1人平均11.58冊を読んだという。

(中国経済新聞)