95後女性の「痕跡を残さない生活」持続可能なミニマリズム

2022/08/18 12:30

24歳、上海在住の女性ミャオミャオ(苗苗)は、2年前から「痕跡を残さない生活」を始めた。

簡単に言うと、「痕跡を残さない生活」とは、自分の生活の「痕跡」を最小限にすることだ。 

「痕跡を残さない生き方をしよう。略奪者ではなく、地球資源の利用者であろう」とミャオミャオは自身の人生哲学を説明する。このアイディアは、アメリカの環境に与えるインパクトを最小限にして、アウトドアを楽しむための環境行動基準Leave No Trace(リーブノートレイス)から生まれたもので、自然の中に身を置くとき、自然の生態系を意識して保全しようとする姿勢を忘れないようにすることを目的としている。

  ミャオミャオは18歳のときから、地球への負担を減らすために「痕跡を残さない生活」を実践している。

彼女は18歳の時に使い捨てのナプキンをやめ、再利用できる製品を使うようになった。また、2年間「紙」を使っておらず、大量に廃棄されているティシュペーパーの代わりに、タオルやハンカチ、ウォシュレットなどを使っている。

加えて、できるだけ外食を控えるようにしており、どうしても食べたいものがあるときは、プラスチックを使用していない再利用可能な容器を持参し、持ち帰るようにしている。

もしフェイスパックが必要な場合は、天然素材の生地、蜜蝋、松脂を使って自作しており、再利用可能であり、かつ見た目も非常に美しい。

ミャオミャオは、ベランダにいる300匹の「ペット」のミミズに、食べきれなかった食べ物や生ゴミを与えている。

ペットが十分に食べられるだけでなく、肥沃な土を残し、育てている植物を肥やし青々とさせることができる。

彼女は、エコと自分自身の快適さのバランスを考えながら、2つを見事に融合させている。

洋服も家も、中古市場や環境保護のブランドで購入することを選んでおり、高校時代から穿いているデニムやパンツは何回も洗って白っぽくなっているが、今でも彼女のお気に入りのアイテムだ。

また、この6年間、使い捨てのナプキンを使わず、再利用可能である伝統的な月経帯を使っている。

加えて、彼女の家では、プラスチック容器に入ったシャンプーやボディソープを見かけることはなく、食器洗いには石鹸を使っている。以前は環境にやさしい洗濯洗剤を自分で作っていたが、ここ数ヶ月は洗濯に洗剤を使わず、よほどの汚れがない限りは石鹸をつけて洗濯機へ入れている。

ミャオミャオは2年前に「痕跡を残さない生活」——持続可能なミニマリズムというアカウントでSNSを始め、すでに5万人以上のフォロワーを集めている。

彼女の痕跡を残さない生活に対して、ほとんどの人は賞賛し、多くの人からの注目を集めているが、一部のネットユーザーからの、「頭を剃ったらどうですか?水やシャンプーの節約になるし一番サステナブルですよ」 や「環境保護のブロガーなら、なぜまだ電気をつけているのですか?」「なぜ、今でも化粧をするですか?」「普段は飛行機に乗っているのですか?」などの疑いや批判を免れることはできない。

これに対し、ミャオミャオは「他人を自分のように変えようとは思わない」と言い、「環境保護は自分にも地球にもプラスになる関心事だ」と語った。彼女は、自分のチャンネルで説教をするどころか、みんなに自分と同じ人生を歩ませようとは思っていない。彼女の考えでは、自己自身を大切にすることを核とし、且つ興味があってこそ、一貫して気楽に実践できるのであって、環境保護は、決して浮かない顔をした苦行僧になる必要はない。

彼女からは、ある種の安らぎを感じる。

そこには、現代における労働者の不安や利益の追求もなく、消費主義に縛られた必死の買いだめもない。

彼女も生き物も大地も、水のように互いに滋養し合う一種の流れに満ちている。そして

彼女がリラックスしながら、満足し、ゆったりと続けているのが見て取れる。

では、如何にしてミャオミャオは、このような生活を続けてこれたのだろう?

考えてみると、彼女の中にある「優しさ(Kindness)」、つまり積極的に愛する力があるからこそなのかもしれない。

優しさは、積極的な能力の一つで、主観能動性を持っている私たちだからこそ、世界や他人、自分自身に愛を発信し、そのフィードバックを受けることができる。だが、しばしば私たちは自分自身が愛を与えられる存在だということを忘れ、他者から愛を受け取ることを願ってしまう。

彼女の満足感は、外からではなく、積極的に自分自身が愛を発信し、それを受け取ることで得られる充実感からくるものだ。

心理学の研究では、積極的に愛を発信している人は幸せな人生を歩んでいることが古くから証明されており、人に手を差し伸べると、体内のオキシトシンが大きく上昇する。オキシトシンは「愛情ホルモン」として知られ、周囲の人と良好な社会的関係を築くのに役立っている。

友好的で寛大になるだけでなく、血圧を下げる効果も期待でき、同時に、親切な行為は体内のドーパミンを上昇させ、気分の上昇や喜びを与えることも研究で明らかにされている。

彼女の生活を通して、愛ある行動は、やがて自分自身の幸せにもつながると教えられた気がする。

(中国経済新聞)