北京郊外の超人気民宿、1泊16万円でも満杯

2022/08/15 17:00

今年前半に自宅待機や隔離などの措置が続いた北京や上海などでは、美しい自然への想いから地方で泊まりたいという人が増え続けている。

北京の街中に住む「90年代生まれ」の女性の夢晨さんは、コロナ禍で2年も北京を離れておらず、今年前半には2度も1か月近い自宅隔離を経験した。SNSで、農村部の庭を改築したという話を何気なく目にしてから、「田舎暮らし」をしたいとの考えが芽生えた。調べたところ、自然に恵まれた地域で今風の庭を備え、賃貸料が年間20万元もする物件もあることがわかった。

夢さんはSNSで「中庭」と入力し検索したところ、68万件の書き込みがあり、「北京の中庭」でも3万件以上のツイートがあった。家具や暮らしに関するブロガーが庭のリフォームをテーマに撮影した動画は、どれも数千件ものコメントが寄せられていた。

このような物件は、夏になって避暑地への観光需要が高まるにつれて入居率も上がっている。郊外の物件を扱うウェブサイトによると、今年5月から6月下旬にかけて、賃貸の情報件数が去年の同じ時期より30%多く、物件の数も38%多くなっている。貸主による表示情報を見ると、70%以上がすでに入居済みとのことである。

これに関連したインフルエンサーも人気を集めている。長年にわたり海外旅行の仕事に従事した張さんは、北京郊外の山間部をドライブしていた時に、草だらけでボロボロの建物を見つけた。そこで衝動的に年1万元で10年間の賃貸契約を結び、半年かけて改築し、美しい自然に赤い瓦屋根が映える民宿としてオープンした。観光業の経験や資源を支えにたちまちにして人気の宿となり、宿泊料は週末には8500元(約16万円7000円)前後、中秋節には1万元(約20万円)近くに達している。

北京市の文化観光局は7月10日から、市内10の区のホテルや民宿で使える総額3000万元未満(約6億円)の宿泊用クーポンを、旅行サイトを通じて3回に分けて配布しており、これまでのところ利用者1人あたり約819元(1万6千円)の補助を得ている。

シーズン真っ盛りとなった7月は28日現在で、北京郊外における宿泊予約数が前月の同じ時期の5倍近くに増えており、また宿代の合計額は2021年の同じ時期の2.5倍、2020年の同じ時期の8.9倍となっている。

(中国経済新聞)