中国チベット自治区の日喀則(シガツェ)市吉隆(キドン)県で8月26日に発生した大規模な土石流災害で、29日午後6時現在、16人が死亡し、546人が行方不明となっていることが明らかになった。中国側の発表によると、行方不明者のうち外国籍と確認された人は261人に上り、23か国に及んでいる。
8月30日、吉隆鎮で開かれた「8・26」土石流災害の記者会見で明らかにされた。中国当局が外事、公安、文化・観光、緊急対応などの部門を動員し、地域全体の捜索や関連情報の照合を進めた結果、外国籍の行方不明者261人が確認された。
内訳は、ネパール104人、インド49人、ラトビア33人、米国18人、英国15人、カナダ6人、オーストラリア6人、南アフリカ4人、ドイツ3人、ロシア3人、マレーシア3人、フランス2人、フィンランド1人、オランダ2人、アイルランド2人、エストニア2人、ニュージーランド2人、ハンガリー1人、カザフスタン1人、リトアニア1人、ポルトガル1人、ウクライナ1人、スペイン1人となっている。
中国側は、関係国の在中国大使館・領事館に情報を通報したとしている。

一方、複数回にわたる地域全体の調査、地点ごとの確認、吉隆口岸(国境検問所)での一人ひとりの確認を進めた結果、現在、吉隆県内に外国人観光客の滞留者はいないとしている。
中国、2000人以上を投入して大規模捜索
災害発生後、チベット自治区は自然災害に対する最高レベルの緊急対応と救援体制を直ちに発動。吉隆県に災害救援指揮部と現地指揮部を設置し、救助活動を本格化させた。
中国財政部と応急管理部は緊急に1億2000万元(約25億円)を拠出したほか、国家発展改革委員会も1億元(約21億円)を投入。救助活動や被災後の緊急復旧を支援している。
現在、人民解放軍、武装警察、中国消防救援隊、国境警備、公安、中国安能などから計2141人の救援要員が投入され、救援車両269台、各種救援装備3922セットが現場で活動している。
捜索活動は陸・水・空の3方向から同時に進められており、被災地の中心部への進入を急いでいる。
土石流によって大規模な被害を受けた道路の復旧作業も進められている。29日夕方には、道路上の重要なS字カーブの一つが初めて開通した。現場では複数の大型掘削機が連携して土砂や泥を除去している。
ただ、断続的な降雨に加え、大量の泥の堆積や作業スペースの狭さなどが障害となっており、今後の道路復旧には依然として多くの困難が残されている。
消防隊、犬やドローンも投入し徹底捜索。中国応急管理部と国家消防救援局も全国から消防救援部隊を派遣し、現地の救助活動を支援している。29日午後6時までに、中国の国家総合消防救援隊から681人、救助犬13頭、車両113台、ドローン47機などが投入された。

現場では山体が不安定な状態にあり、落石や斜面崩壊などの二次災害の危険が続いている。また、道路が広範囲にわたって寸断され、一部地域では通信も途絶。大量の土砂や岩石が河谷一帯を覆っており、救助活動は極めて厳しい環境下で行われている。
救援隊は、高地特有の低温や強風、頻発する二次災害の危険を抱えながら、徒歩による陸上捜索、舟艇による河川沿いの捜索、ドローンによる上空からの監視を組み合わせ、谷間や河原などを重点的に捜索している。生命探知機や救助犬も活用し、人が到達できる場所を一つひとつ確認しているという。
一方、今回の災害では、上流側に位置するネパールで発生した地形変化も下流への影響が懸念されている。
中国水利部によると、中国国内の普熱普強蔵布に形成された土砂による堰塞湖は現在、自然に水が流れ出す状態を維持している。中国側は、この堰塞湖を今回の救援活動における最大のリスクの一つと位置付けている。
さらに、その上流にあるネパール側の錯堅河では大規模な衝撃坑が形成されており、これが下流側の堰塞湖にとって最大のリスク要因になっているという。
最新の観測では、錯堅河の衝撃坑の面積は約17万4000平方メートルに達している。現時点では水があふれ出す可能性は高くないとされているものの、中国水利部は引き続き状況を注視する必要があるとしている。
現地では道路や通信などのインフラが大きく損壊しているほか、さらなる地質災害の危険も残されている。中国側は、二次災害に十分警戒しながら、行方不明者の捜索と被災地の復旧を継続する方針だ。
(中国経済新聞)
