AIが変える広告産業――2026上海国際広告フェスティバル開幕

2026/08/28 13:30

2026年8月26日午前、「智行・質興」をテーマとする第9回上海国際広告フェスティバルが、上海市普陀区の半馬蘇河国際会議センターで開幕した。米国、英国、フランスなど10カ国以上から広告業界関係者や専門家、研究者が参加したほか、マレーシア広告協会、ネパール広告協会など海外の広告関連団体も初めて参加。中国の広告産業がAIとデジタル技術を軸に新たな成長段階へ移行する中、国内外の関係者が業界の未来を議論する場となった。

主催者によると、今回の広告フェスティバルでは「AIによるデジタル広告イノベーション」と「中国ブランドの海外展開」を大きな柱に据え、3日間にわたって、中国ブランドの海外進出、デジタル広告のコンプライアンス、AI技術の実装、新たな消費市場の成長、老舗ブランドの刷新などをテーマとしたフォーラムが開催される。

広告業界におけるAIの役割は、単なるクリエイティブ制作の補助から、産業全体を支える基盤へと変化している。

中国広告協会の張国華会長は、AIがコンテンツ制作、広告配信、ターゲティング、効果測定・運用など広告ビジネスの全工程に深く浸透していると指摘。広告業界は「ツールによる支援」から「AIネイティブ」な発展段階へと急速に移行しているとの認識を示した。

また、2026年6月には国家市場監督管理総局など6部門が共同で関連文書を発表し、広告産業を初めて「新質生産力」の戦略的枠組みに組み込んだ。AIを広告産業の全チェーンに深く活用し、業界の質の高い発展を促進する方向性が明確に示された。

開幕式では、上海市市場監督管理局が「上海広告発展指数報告(2026)」を初めて発表した。

同報告によると、「第14次五カ年計画(十四五)」期間中、上海の広告産業は、産業力、産業環境、産業イノベーション、経済効果、社会効果の5分野で協調的な発展を遂げた。政策による支援を受けながらイノベーションを成長の原動力とし、経済・社会的効果を重視する産業構造が形成されつつあるという。

特に短編動画やライブコマースなどの新業態が急速に普及し、2021年には上海の広告業収入の伸び率が30.4%まで上昇した。その後、2022年には新型コロナウイルス感染症の影響で一時的に低下したものの、2023年には市場が回復。デジタル化の進展とともに、生成AIやXR(拡張現実)技術とマーケティングの融合も加速している。

2025年には、上海の一定規模以上の広告企業の売上高が史上初めて4,200億元を突破し、前年比12.8%増を記録。全国に占める割合は20.5%となり、都市別規模で全国首位に立った。さらにデジタル広告の売上高が全体の85.4%を占め、デジタル化においても全国をリードしている。

全国広告売上高上位5%に入る上海企業は2025年時点で224社に達し、全国の25.4%を占めた。世界的な広告グループであるダボン、オムニコム、ピュブリシス、電通、ハバスなども中国本部を上海に置いている。

上海ではインターネット広告企業の増加も続いている。「十四五」期間中、一定規模以上のインターネット広告企業数は230社から591社へと大幅に増加した。

デジタル広告分野では、微盟集団、劇星伝媒、楽推文化、利欧数字など、多様な企業が台頭している。広告業界のデジタル化が進む中、従来型広告会社だけでなく、テクノロジー企業やマーケティングプラットフォームなども産業エコシステムの重要な担い手となっている。

上海市はAIとデジタル技術を活用した広告産業の高度化をさらに進める方針だ。

上海市市場監督管理局の李沢龍局長によると、同市は2025年に「AIによる広告業イノベーションを支援するための若干の措置」を発表した。今年はさらに「サービス業の拡張・質的向上を推進する実施意見」を打ち出し、広告産業のデジタル化とデジタルイノベーション能力の強化を進めている。

開幕式では、「上海市広告産業拡張・質的向上3カ年行動計画(2026~2028年)」も発表された。デジタルトランスフォーメーション、クリエイティブ人材・事業の育成、人材育成、産業園区の整備などを重点分野とし、今後3年間の産業発展の道筋を示している。

上海市広告協会は、上海市市場監督管理局の指導のもと、2022年1月から国家知識産権局に全国初となるデジタル広告関連の証明商標体系の登録を申請してきた。

これまでの4年間で268社が認定を取得し、2026年度には114社が新たに認定された。今回の開幕式では、2026年度の「一級デジタル広告証明商標」を取得した12社に認定証が授与された。

こうした制度を通じて、急速に拡大するデジタル広告市場における企業の信頼性やサービス品質を可視化し、業界の健全な発展につなげる狙いがある。

今回の開催地である普陀区も、AIとデジタル広告の集積地として存在感を高めている。

2026年7月、普陀区は全国初の国家デジタル広告産業園試点の一つに選定され、上海では唯一の試点となった。現在、同区には関連企業1,700社以上が集まり、広告産業の規模はここ3年間で飛躍的に拡大している。

普陀区の趙亮区長は、国家級試点の建設を契機としてAIの発展をさらに加速させる方針を表明。広告クリエイティブ、インテリジェントな広告配信、越境データマーケティングなどの分野に重点を置き、「AI+広告」の発展モデルを構築するとした。

さらに、AIを活用した研究開発やベンチマーク製品の創出を支援するとともに、誰もが利用しやすく、開かれた専門的なAIデジタル広告技術サービス体系の構築を目指す。

今回の上海国際広告フェスティバルは、上海市広告協会と上海文化広播影視集団有限公司が主催。「智行・質興」をテーマに、AIとデジタル広告の融合・イノベーションに焦点を当て、「会議・展示・フェスティバル」を一体化した形式で開催される。

開幕式には300人を超える専門家、業界関係者、企業代表が参加。ピュブリシス・グループ大中華圏の陳甯COO、分衆伝媒の創業者兼董事長である江南春氏、中国伝媒大学教授・博士課程指導教員で国家広告研究院院長を務める丁俊傑氏らが、広告産業の最新トレンドについて講演した。

AIによる広告制作や配信の高度化、中国ブランドの海外展開、デジタル広告のガバナンスなど、広告業界を取り巻く環境が大きく変化する中、上海国際広告フェスティバルは、国内外の知見と資源を結び付ける国際的な専門プラットフォームとしての役割を強めている。

「智行・質興」という今回のテーマが示すように、上海の広告産業はAIを単なる新技術として導入する段階から、産業構造そのものを変革する段階へと歩みを進めている。今後、AIとデジタル技術を原動力として、上海が中国広告産業のイノベーション拠点、そして中国ブランドの海外展開を支える重要なハブとしてどこまで成長できるかが注目される。

(中国経済新聞)