中国家電「出海」が新局面、上場企業の半数近くが海外売上高4割超

2026/08/30 08:30

中国家電上場企業、半数近くが海外売上高比率4割超 「出海」は規模拡大からグローバル化の深化へ

中国の家電メーカーで海外事業への依存度が一段と高まっている。2026年8月27日時点のWindデータによると、申万産業分類の「家電」に属するA株上場企業106社のうち、89社が2026年上期(1~6月)の中間決算を発表した。

89社の合計売上高は6032億7200万元(約14兆3518億円)。このうち48社が前年同期比で増収となり、26社は2桁増収を達成した。利益面では72社が黒字を確保し、全体の8割を超えた。

特に注目されるのが海外事業だ。海外・国内別の売上高を公表した76社のうち、60社で海外売上高比率が10%を超え、34社は40%を上回った。さらに22社では海外売上高が全体の半分を超えている。

中国家電業界では、「出海(海外進出)」が単なる輸出拡大から、研究開発、製造、販売、ブランド構築までを海外で展開する「グローバル・ローカライゼーション」へと進化している。

海爾智家、海外売上高が5割超——大手白物家電メーカーでは、海外事業が中国国内市場の成長鈍化を補う重要な成長基盤となっている。

最大手の海爾智家(ハイアール・スマートホーム)は、2026年上期の売上高が1521億1500万元(約3兆6191億円)に達した。海外売上高比率は51.79%で、売上高の半分以上を海外市場が占める。

国内市場の景気循環の影響を受けながらも、海外事業の比重を高めることで、同社は中国国内だけを基盤とする家電メーカーから、真の意味でのグローバル企業へと変貌を遂げつつある。

利益面では、格力電器が132億7800万元(約3159億円)で首位。海爾智家は103億1600万元(約2455億円)で続いた。以下、三花智控が20億4400万元(約486億円)、海信家電が16億5800万元(約394億円)、四川長虹が16億4600万元(約391億円)となった。

海信家電の上期売上高は467億6600万元(約1兆1127億円)で、海外売上高比率は45.72%。同社が進める世界「7+1」地域センターのエコシステム構築も進展しており、欧州の白物家電事業は前年同期比20%増、北米は11%増、アジア太平洋地域は6%増となった。特にインド市場は90%増と急成長した。

一方、TCL智家は海外売上高比率が84.63%に達した。約100億元(約2379億円)の売上規模ながら、上期は前年同期比4.83%の増収を確保しており、海外市場でのブランド浸透と事業基盤の強さを示している。

中国白物家電の輸出、自主ブランドが高い伸び——中国税関総署によると、2026年上期の中国の白物家電輸出額は718億9000万ドル(約10兆円)で、前年同期比4.6%増となった。なかでも自主ブランドの輸出は21.2%増と、業界全体を大きく上回る伸びを示した。

冷蔵庫や洗濯機など主要製品も輸出が2桁成長を維持している。

これは、中国家電メーカーの海外進出が、低価格製品を大量に輸出する従来型モデルから、自社ブランドを構築し、現地で研究開発・生産・マーケティングまで行うモデルへ移行していることを示している。

石頭科技、海外比率60%超 高付加価値化が進む——もう一つの大きな潮流が、ロボット掃除機などスマート家電を手掛ける新興企業の海外成長だ。

石頭科技(ロボロック)は2026年上期、売上高100億8400万元(約2400億円)と、半年間で100億元の大台を突破した。前年同期比27.6%増で、親会社株主に帰属する純利益は9億8600万元(約235億円)と45.6%増加した。

海外売上高比率は60.22%に達する。売上高以上のペースで利益が伸びていることからも、単なる販売数量の拡大ではなく、ブランド力や製品の高付加価値化が収益性を押し上げていることがうかがえる。

科沃斯(エコバックス)も好調で、上期売上高は103億4100万元(約2461億円)、前年同期比19.18%増。海外売上高は全体の49.42%を占めた。

また、除湿機やポータブルエアコンなどを手掛ける欧倫電気は、上期売上高が前年同期比22.74%増となり、海外売上高比率は64.55%に達した。

中国発のロボット掃除機をはじめとするスマート家電は、これまで海外市場で「選択肢の一つ」にすぎなかった段階から、世界の家庭における主要製品へと存在感を高めつつある。

「サプライチェーンの海外進出」も加速——中国家電のグローバル化を支えているのは、完成品メーカーだけではない。

家電部品や制御機器など、特定分野で高い技術力を持つサプライヤーも海外展開を加速させている。こうした企業は、世界の大手家電メーカーのサプライチェーンに深く入り込み、「見えないチャンピオン」として存在感を高めている。

冷凍・空調制御部品大手の三花智控は、上期売上高169億元(約4020億円)。海外売上高比率は41.73%に達した。

同社の強みは家電部品にとどまらない。世界の主要家電メーカーに部品を供給する一方、新エネルギー車の熱管理システムという成長市場にも事業領域を広げている。製品は世界80カ国・地域以上に展開されている。

商業照明分野の専業メーカー、民爆光電は上期売上高8億9200万元(約212億円)。そのうち海外売上高が92.87%を占め、全体の売上高は前年同期比9.15%増加した。

このほか、欧聖電気、聯域、鴻智科技、富佳などでも海外売上高比率が90%を超えている。

中国家電の「出海」は次の段階へ 。2026年上期の決算から見えてくるのは、中国家電業界のグローバル化が単純な「輸出拡大」の段階をすでに超えているということだ。

大手白物家電メーカーは、海外で研究開発から生産、販売までを一体化した「現地化」を進め、新興スマート家電メーカーは技術力とブランド力を武器に成熟市場へ食い込む。そして、その背後では部品・素材メーカーが世界のサプライチェーンに深く組み込まれている。

つまり、中国家電の海外進出は、
大手メーカーによるグローバルブランド化
新興企業による技術・高付加価値化
サプライヤーによる世界的な産業チェーンへの浸透

という3つの流れが同時に進む段階に入ったといえる。

国内市場の成熟化や競争激化を背景に、中国家電企業にとって海外市場はもはや「追加の販売先」ではない。成長を維持し、収益力を高め、世界市場でブランドを確立するための中核市場となっている。

海外売上高比率が4割を超える企業が34社、5割を超える企業が22社に達したことは、その変化を端的に示している。中国家電業界の「出海」は、量の拡大から質の向上へ、そして輸出企業からグローバル企業への転換へと、新たな段階に入った。

(中国経済新聞)